2026/8/23

AI時代に評価はどう変わるか

AI時代に人事評価制度がどう変わるかを表したイラスト

 AIの職場への導入が急速に進んでいる。業務効率化や生産性向上への期待が高まる一方、働く人にとっては、自分の仕事や評価がどう変わるのかという不安もある。

 日本生産性本部が7月30日に公表した第19回「働く人の意識に関する調査」では、「仕事の評価基準が変わらないか不安である」と回答した人は、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」を合わせて44.3%に上った。特に今後の雇用に不安を感じている人では51.0%と半数を超えている。AIへの不安は、自分の仕事が奪われるのではないかという問題だけではなく、これまで評価されてきた自分の能力が、これからも評価されるのかという問題にも広がっている。

 では、AIの普及によって仕事の評価基準はどのように変わるのだろうか。大きな方向として考えられるのは、「どれだけ仕事をしたか」から「どのような価値を生み出したか」へのシフトである。

 たとえば、これまで2時間かけて作成していた報告書を、生成AIを使って30分で作れるようになれば、「資料をいくつ作成したか」「どれだけ多くの業務を処理したか」といった仕事量だけでは、社員の能力や貢献度を測りにくくなる。資料作成そのものよりも、「その資料が意思決定にどの程度役立ったか」、営業であれば、「顧客の課題を的確に捉え、受注や利益にどれだけつなげたか」といった成果の質が重視されるようになるだろう。

 同時に、人間にしかできない部分の評価価値も高まる。AIから優れた回答を得るには、そもそも何を解決すべきかを考え、適切な問いを設定しなければならない。また、AIが出した回答が正しいとは限らないため、その内容を検証し、最終的に何を採用するかを判断する必要もある。

 そのため、これまで以上に、問題発見力、課題設定力、判断力、創造力といった能力が重要になる。「多くの知識・情報を持っている人」より、「必要な知識・情報をAIも活用して集め、正しく判断できる人」の評価が高まる。これに付随して、新しい技術や仕事の変化に対応する学習力や柔軟性も重要となる。

 では、人事評価制度はどう変える必要があるだろうか。

 まず必要になるのが、能力・行動評価項目の見直しである。たとえば従来、「担当業務について十分な専門知識を有している」と評価していたものを、「専門知識やAI等を適切に活用し、情報の妥当性を検証したうえで適切な判断を行っている」といった基準に変えていくことが考えられる。

 ただし、AIを積極的に利用している人を高く評価すればよいわけではない。仕事によってはAIを利用しない方が適切な場合もある。評価すべきなのはAIの利用度ではなく、AIを適切に活用し、仕事の質や成果を高めたかどうかである。

 目標管理制度にも影響する。AIによって業務効率が大幅に短縮されれば、「月20件処理する」といった“仕事量”の目標では、本人の貢献度を適切に測れなくなる可能性がある。処理件数ではなく、顧客満足向上、利益への貢献、リードタイム短縮、品質向上など、より最終成果に近い目標へ移行する必要が出てくるだろう。

 AI時代になるからと言って、人事評価制度が根本から大きく変わるようなことはないと思われる。ただ、「AIを含むさまざまな資源を適切に活用し、期待される成果を生み出せるか」がより問われるようになるということだ。その際に評価軸として重視されるのは、①成果・付加価値、②問題発見力や判断力、③AIを適切に活用するリテラシー、④新しい技術や仕事の変化への対応力、ではないだろうか。          

 



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