目標達成度評価~こんなときどうする?

 目標管理制度を導入したとき、目標設定時と達成度評価時に社員と上司とで面談を行うのが一般的です。このうち、特にもめやすいのが達成度評価面談です。

 当オフィスでは、下記のように、達成度評価面談時によくある困ったケースをパターン化し、評価者の適切な対応を示した「こんなときどうする?」を作成しています。
 

「こんなときどうする?」の例
 
● 業績評価のフィードバックで「評価結果に納得できません」と言われたとき

【悪い対応】
・「今回はこの評価で納得してくれ、次は何とかするから」とその場しのぎの対応をする。
・「納得しようがしまいが、これが私の評価だ」「納得できなくても、評価は変えられないからどうしようもない」と開き直る。
・「私はもっといい評価をしたのだけど、〇〇部長がね‥」と責任転嫁する。
・「他の社員にもこんな評価をした」「他の社員には納得してもらった」と論点をすり替える。
  
【よい対応】
・相手の意見を聞いたうえで具体的な事実や行動を情報提供する。
・育成にあたっての自分自身の課題も述べる。
・「あなたなら、これくらいはできるはずだ」「現状に満足してほしくない」と高い期待を持っていることを示す。
・無理に納得してもらおうとせず、時間を置いて話し合う。

【対応のポイント】
 面談は、評価者と社員とが互いの認識を深める場と理解しましょう。シロクロの決着を付けるのではなく、ギャップを少なくするというスタンスで臨むことが大切です。説得というよりも、「こういう見方もある」という情報提供の形で話すとよいでしょう。
 そのためには、まず基準や事実に基づいた根拠のある評価をすることが大前提となります。


 ご覧のとおり、「よい対応」だけでなく、「悪い対応」も示しているのが特徴です。これにより、行いがちな悪い対応を評価者に自覚していただくことができます。
 また、対応例に加えて「対応のポイント」を指摘することで、なぜその対応が必要なのかをより深く理解することができ、納得性を高められるようにしています。

 
ケースは、他にも
 
業績評価のフィードバックで「評価は納得しました。で、今後どうすればいいのですか?」と言われたとき
● 目標管理の達成度評価で、評価が悪く社員が自信をなくてしまったとき
● 目標達成度評価において社員の自己評価が甘いとき
● 日常業務や突発的に発生する業務に手一杯で目標達成ができなかったとき

 などのパターンがあります。いずれも典型的なもので、評価者なら一度は経験する事例ではないかと思います。

 用途としては、人事評価者研修のケーススタディとすることが多いのですが、目標管理マニュアル等に記載することもあります。

 達成度評価面談は、目標管理を機能させるためのキーとなるステップの1つですが、同時に評価者にとっての悩みのタネでもあります。「こんなときどうする」を、適正運用のための参考としていただければ幸いです。