評価アンケート結果分析


 当オフィスで、社員に評価に関するアンケートを作成していることは「人事評価アンケート」でも述べたところです。ここでは、アンケート結果の分析事例について紹介します。

1.クライアント

 社員数約200人の製造業K社で、評価制度を見直した後の1回目の評価終了後、全社員に単一選択型を中心としたアンケートを行いました。

2.アンケート結果

 評価に関して概ね前向きな捉え方をしていましたが、「評価が自身の能力開発のために有効と思う」の回答が低めであった点が少し気になりました。評価の最大の目的は“社員の能力開発”と説明会等で強調していたこともあり、「評価を能力開発に活用してもらうにはどうすればよいか?」が課題に揚げられました。

3.クロス分析

 それを探るために実施したのがクロス分析です。クロス分析とは、ある質問に対する回答別に、他の質問をどう回答したかを集計するものです。

 具体的には、「評価が自身の能力開発のために有効と思う」の回答を、「有効と思う(大いに有効と思う、ある程度は有効と思う)」と「有効と思わない(あまり有効と思わない、全く有効と思わない)」の2グループに分け、それぞれが他の質問にどう回答したのかを集計しました。

4.クロス分析の結果

 結果は、「人事評価制度の理解度」や「評価面談時間の長さ」などは「有効と思う」グループと「有効と思わない」グループの間で回答に大きな差はないことがわかりました。

 一方、「人事評価結果の納得性」「上司の日常の仕事ぶりの把握」「上司の日常の助言・指導」などは、「有効と思う」グループではポジティブな回答が多く、「有効と思わない」はネガティブな回答が目立ち、両者の回答傾向に違いがあることがわかりました(下表参照)。

質問 
グループ 
ポジティブな回答 
ネガティブな回答 
人事評価制度の理解度
 
有効と思う 
100%
0%
有効と思わない 
96%
4%
人事評価結果の納得性 
 
有効と思う
98%
2%
有効と思わない
68%
32%
         
 これらから、「人事評価結果の納得性」等の3項目を強化することで、評価による能力開発が期待できると結論づけました。

5.結果の活用

 K社では評価者研修を行い、管理職社員に3項目を強化するための現状の振り返りや今後職場で実践すべきことを話し合っていただきました。

 このように一般的な課題ではなく、データに基づき当該企業に即した課題を提示することで、社員の腹落ち感も高まり、実践に向けての動機づけも向上できると考えられます。