休憩、休日、休暇に関するQ&A

 休憩

Q.休憩時間の外出を許可制にすることは問題ないでしょうか?
 事業場内で自由に休息できるのであれば、外出に制限を加えても問題はないとされています(昭和23.10.30基発1575号)。
(2012.7.30)

Q.休憩時間は分割して与えてもかまわないのでしょうか?  
 分割して付与しても問題はありません。たとえば、昼の12時に45分、15時に15分の休憩を与えることもできます。ただし、昼の休憩時間については、昼食を摂る必要性から、ある程度の時間を確保するよう配慮したいです。
(2013.7.29)

 Q.法律上、休憩時間は社員一斉に与えなければならないと聞きましたが、当社は小売店を営んでおり、お客様対応のため一斉に与えるわけにはいきません。交替で与えてはいけないのでしょうか?  
 休憩時間は、原則として一斉に与えなければなりません(労基法34条2項)。ただし、公衆の不便を避けるため、運輸業、商業、金融・広告業、映画・演劇業、通信業、保健衛生業、接客・娯楽業は、元々当該規定が適用されません(労基法40条、労規則31条)。御社は商業に該当しますので、一斉休憩をする必要はありません。
 また、これらの事業に該当しなくても、労使協定を締結することにより、交替で与えることも可能となります。
(2013.7.29)

Q.休憩時間中の政治活動を禁止することに問題はありますか?  
 使用者は、休憩時間を自由に利用させなければなりませんが、「事業場の規律保持上必要な制限を加えることは、休憩の目的を害さない限り差支えない(昭和22.9.13発基17号)」と解されています。
 一般に政治活動は、企業の施設管理を妨げたり、社員間に無用の混乱や対立を引き起こしたり、他の社員の休憩の自由利用を妨げたりするおそれがありますので、禁止しても問題はないと考えられます。
 ちなみに、最高裁の判例に「企業秩序維持の見地から、就業規則により職場内における政治活動を禁止することは、合理的な定めとして許される」というのがあります。したがって、禁止する場合は、就業規則で明文化しておいたほうがよいでしょう。
(2013.7.29)

Q.休憩時間中の労働組合活動を禁止することに問題はありますか?  
 上にも述べたように、休憩時間は労働者が自由に利用することができます。ただし、労働組合活動といってもさまざまで、企業の施設管理を妨げたり、事業場の規律保持のうえで問題となったりしない組合活動も多くあると思われますので、組合活動を全般的に禁止するというような定めは、不当労働行為に該当する可能性が高く、避けた方が無難といえます。     
(2013.7.29)

  休日
 
Q.労働者を24時間休ませることをもって、労働基準法上の休日としてよいのでしょうか? 
 労働基準法上の休日は、原則として暦日(午前0時~午後12時)単位で与える必要があります(昭和23.4.5年基発535号)。ただし、交替制をとる場合の休日は、暦日ではなく継続する24時間でも差支えないとされます。 この例外を適用するには、
 ①交替制によることが就業規則等により定められており、制度として運用されていること、
 ②交替が規則的に定められているものであって、勤務割表等によりその都度設定されるものではないこと
 の2つの要件が求められます(昭和63.3.14基発150号)。
(2013.8.12)

 Q.休日は特定しなければならなのでしょうか? 
 労働基準法上、休日の特定は求められていませんが、特定することが法の趣旨に沿うものであることから、就業規則の中で単に1週間につき1日といっただけではなく、具体的に一定の日を休日と定める方法を規定するよう行政は指導しています(昭和23.5.5基発682号)。
(2013.8.12)
   
 Q.休日振替と代休はどう違うのでしょうか? 
 休日振替は、事前に休日と労働日を交換することで、本来、休日であった日は労働日となり、労働日であった日が休日となります。このため、休日労働は発生しません。代休は、休日に労働をさせ、後日に休日を与えることですので、休日労働が発生することになります。このように休日労働が発生するかしないかが休日振替と代休の大きな違いです。詳しくはミニコラム「休日振替と代休の違い」「休日振替と代休について応用編」をご覧ください。
(2013.8.12)

Q.社員に休日の振替を命じたところ、拒否をされました。休日振替には社員の同意が必要なのでしょうか? 
 業務の必要に応じて社員に休日振替をさせる旨の就業規則の定めがあり、その定めに基づいて、あらかじめ別の日を休日として特定して行われるのであれば、使用者は労働者の個別の同意がなくても休日振替を実施できます(昭和23.4.19基収1397号など)。
 逆に言えば、就業規則や労働契約の定めがない場合は、社員の個別の同意が必要ということになります。
(2013.8.12)

Q.振替休日により振り替えた休日を、さらに振り替えてもよいのでしょうか? 
 振替休日の再振替は、行政の側で特に規制はしていませんので、決められた振替休日の手続きを取れば一応は有効と考えられます。ただし、振り替える日は、「振り替られた日以降できる限り近接している日が望ましい」という行政指導があることから、元々の休日から離れすぎないよう注意する必要があるでしょう。
 実際のところ再振替は、安易に再々振替が行われたり、振替休日が蓄積したりして、振替休日の管理や割増賃金の計算が煩雑となり、不適切な労務管理につながるケースが多いです。適切な労務管理のためには、再振替は認めず、振替日に労働させる必要があれば、休日労働とするのが望ましいといえるでしょう。 
(2013.8.12)
  
 休暇

Q.当社では、土日や祝祭日、盆・年末年始等を休日に定めていますが、土日以外を休暇とすることで、時間外休日労働の割増賃金の単価を安くできると聞きました。このような変更は可能なのでしょうか?
 休暇とは、「労働の義務があるにもかかわらず、使用者から労働義務を免除された日」のことです。したがって、休日を減らして休暇を増やせば、労働日が増えますので、割増賃金を計算する際の分母が大きくなり、単価は安くなります。ただし、休暇とするかぎりは、労働者にその申請してもらう必要がありますが、祝祭日ごとにそのような取り扱いができるでしょうか? そもそも、ほぼ全員の労働者が労働しないのであれば、実態としては休日であり、休暇とは認められないでしょう。設問のような取り扱いはできないと考えられます。
(2012.7.30)

Q.当社では、就業規則において、8月13日~15日の3日間を夏季休日と定めていますが、土日の関係で休日数が変動したりすることや、業務の繁忙の関係から日数の特定は避けたいことから、日数・時期の特定をやめようと考えています。夏季休日の定め方で、「日数および日付は会社が決定する」といった表現は認められるのでしょうか?
 休暇には、労基法の定めによるものと、労務管理上の配慮から企業が独自に設けるものがあります。質問の夏季休暇などは後者に属し、法的な規制はないため、具体的な日数や時期を特定する必要はありません。
 ただ、権利関係を明確にするためには、具体的な日数・時期を何らかの形で明らかにしておく方が望ましいといえます。「夏季休暇(日数および日付は3月末日までに会社が決定する)」といった表現により、できるだけ具体化するよう工夫したいです。
(2013.7.29)