2026/8/9

就活での親の関わり

 近年、就職活動において親の関与が深まっている。人材サービスの株式会社ジェイックが7月に発表した「就職活動における親との関わり」調査で、その実態が示されている。

 就職活動に関する親への相談頻度については、定期的に親へ相談している学生は54.4%と半数を超えている。相談するタイミングの最多は「業界・職種を絞り込む、企業選びの初期段階」で、次いで「内定獲得後、最終的に承諾先を決める時」、「就職活動のストレスや不安を感じた時」となっている。親に期待する役割は「相談内容を聞いてほしい」が最も多く、「経験や知見などに基づくアドバイスがほしい」、「状況や気持ちを理解してほしい」が続いている。

 近年の親子関係は、親が子どもを一方的に指導する縦の関係から、悩みを共有し、対等に話し合う横の関係へと変化している。特に母親は、趣味や外出を共にする身近な存在であると同時に、進学・就職・恋愛などについて相談できる「友人兼メンター」のような役割を担うようになっている。博報堂生活総合研究所が、2024年と1994年に実施した「若者調査」の比較をしたところ、自分の価値観に最も影響を与える相手として母親を挙げる若者が増え、家庭内での会話や共同行動も増加しているとのことだ。

 ただし、友達に近いといっても、学生が親に判断を委ねているとは限らない。上記に示した「親に期待する役割」を見ても、親が決定権を持つというより、学生の考えを整理するための壁打ち相手や心理的な支えとなっていることがうかがえる。最終的には自分で決めることを前提に、安心して本音を話せる相談相手として親を位置付けていると考えられる。

 こうした状況を踏まえると、今後の新卒採用では、学生だけを念頭に置くのではなく、学生が親に説明し、納得を得られるだけの透明性を備えた採用コミュニケーションが求められる。学生本人への訴求だけでなく、学生が親に企業の魅力を説明しやすくなるような情報提供を意識する必要があるということだ。

 具体的には、事業内容や経営の安定性だけでなく、仕事内容、勤務地・転勤、教育制度、キャリア形成、賃金・福利厚生、働き方、職場環境、コンプライアンス体制など、親が不安を感じやすい事項をわかりやすく示すことが重要である。

 採用サイトに「保護者の方へ」や「保護者からよく寄せられる質問」を掲載する、内定者に保護者向けの会社案内を提供する、本人の希望と同意を得て保護者向け説明会を開催するといった方法も考えられる。

 もっとも、企業が親に入社承諾を求めるような対応は避けるべきである。そこまですると、学生や保護者のためではなく、内定者を確保したい会社のための行為とネガティブに受け止められてしまう。中心に置くべきなのはあくまで学生本人の意思決定であり、親向けの情報提供は、その意思決定を支えるための補助的な施策と位置付ける必要がある。          

 


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