2025/8/31

人手不足感は一服?

 近年、「人手不足、人手不足」と盛んに言われており、年々深刻さが増している印象を受けるが、足元の実態は異なるようだ。

 帝国データバンクが8月19日に公表した「人手不足に対する企業の動向調査」結果によると、2025年7月時点での「正社員の不足を感じている企業」は50.8%だった。3年連続で50%を超えているものの、前年同月(2024年7月、51.0%)からは0.2ポイントの微減となっている。非正社員における人手不足割合も28.7%で、わずかながら前年同月から低下(△0.1ポイント)している。引き続き高水準で推移しているものの、深刻さが増しているわけではないことがわかる。

 業種別に見るとその傾向はさらに明らかとなる。人手不足で思い浮かぶ、建設、運輸・倉庫、情報サービス、飲食店を見てみよう。

 まず、建設(正社員。以下同じ)の2023年7月、2024年7月、2025年7月の数値は、68.3%、69.5%、68.1%である。2025年7月時点で全業種トップであるものの、増加傾向というわけではない。運輸・倉庫も同様に64.3%、63.4%、63.9%と高止まりの状況である。

 情報サービスの同数値は、74.0%、71.9%、67.7%と減少傾向にある。飲食店も同様に66.3%、59.8%、55.9%と人手不足感は改善傾向が見られる。
飲食店の非正社員では、その傾向がさらに強く、83.5%、67.5%、61.8%と2年間で20ポイント以上も低下している。

 このように現状は、人手不足感が強いものの増加傾向にはなく、高止まり、あるいは減少傾向にあるといえる。人手不足感は一服というのが実態である。

 その要因として、以下のものが考えられる。

①省人化・自動化の進展
 倉庫の自動化やデジタル化、飲食店でのタブレット注文などが典型例である。
②労働力供給の強化
 外国人労働者の受け入れ、70歳就業機会確保措置による65歳以上の高齢労働者の増加など。
③需要の伸びの鈍化
 コロナ後の需要回復が一段落し、急激な需要増による人手不足感は緩和している。逆説的だが、人手不足でこれ以上受注を受けられないという実態もある。
④労働市場の活発化
 情報サービス業などでは、流動性が高まりミスマッチが調整されやすくなっている。帝国データバンクの調査では、スポットワークの普及も指摘している。

 これら以外にもう1つ考えられるのは「順応」である。人間には、苦痛やストレスがあっても、それが次第に和らいでいくという特性がある。人手不足は依然深刻だが、それが当たり前となった現在、「大したことではない」という認識に変化している可能性がある。筆者の感覚では、この側面が結構強いと思うのだが、いかがだろうか。         

 


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