
3月1日から2026年卒の学生の就職説明会が解禁となった。「就職活動がいよいよスタート!」というのは建前で、多くの学生は就活を始めており、すでに内定を得た人も多い。
リクルート就職みらい研究所が2月18日に発表した「就職プロセス調査(2026年卒)」によると、2月1日時点の大学生の就職内定率は、前年比15.4ポイント増の39.3%となっている。すでに4割は内定を得ている。現在の就職活動スケジュールとなった2017年卒以降、過去最高とのことだ。
ちなみに5年前の2021年卒の2月1日時点の内定率は9.0%。内定の早期化が加速しているのがわかる。3月1日から説明会を開始し、6月1日から面接などの採用選考を行うという政府のルールは、すでに形骸化している。
企業が早く内定を出すのは、激化する人材争奪戦に1歩でもリードをしたいからだ。学生側にも、落ち着いて学生生活を過ごせるなどのメリットがある。双方のニーズがマッチしてのことだが、一方で次のような問題点を抱える。
【企業側の問題点】
1.採用のミスマッチ
早期に内定を出すことで、十分な選考ができず、適性に合わない人材を採用してしまうリスクが高まる。
2.内定辞退の増加
学生は就活を継続する可能性が高く、内定辞退が増えるリスクがある。
3.採用活動の長期化に伴う負担増
早期に内定を出すことで、内定者フォローの期間が長くなり、採用部門の負担が増大する。
4.市場環境の変化への対応が困難
事業環境の変化により必要な人材要件や人数が変わっても、すでに出した内定を取り消すのは難しい。
5.追加採用が困難
早期に採用枠を埋めてしまうと、後になってより優秀な学生が現れても採用できない場合がある。
【学生側の問題点】
1. キャリア選択の機会損失
早期に内定を得ると、他の企業を見る機会が減り、より適した企業を見つけるチャンスを失う可能性がある。
2.早期の意思決定によるリスク
早期の内定によって安心感を得る反面、自己分析や企業研究が不十分なまま入社を決めてしまい、後で後悔するリスクがある。
3.内定辞退による精神的ストレス
早い段階で内定をもらっても、後でより魅力的な企業を見つけることがあり、辞退する際に精神的負担を強いられる。
最後の3に関して、冒頭の「就職プロセス調査(2026年卒)」によると、内定取得者の取得企業数の平均は1.88で、5社以上の強者も6.3%いる。2月1日時点でこの数値なのだから、今後さらに増加するのは確実だ。辞退する企業も増えるということだ。
学生にとって内定辞退の連絡が大きなストレスとなるのは想像できる。しかも連絡は電話が基本とされており、近年の若者にはますますハードルが高い。誰か代わりにやってくれないか…。そこで、思いつくのは退職代行だ。退職代行に続いて“内定辞退代行サービス”が生まれる日も近い、と思って調べてみたら、すでにたくさんの業者があった。