「オフィスよりテレワーク」「残業はしたくない」「転勤もしたくない」「石の上にも三年などもってのほか」。近年の若手社員に対しては、このようなイメージがあると思う。そして、若ければ若いほど、その傾向は強まるという印象ではないだろうか。
ところが、そのようなイメージを覆す調査結果が示された。ベネッセi-キャリアが、大学2・3年生を対象に実施した「『こんな会社ではたらきたい!』ホンネ調査2026」では、最近の学生が思いのほか昭和的な働き方を志向していることが明らかになった。以下、調査結果を概観してみよう。
まず、理想とする働き方は、「出社してオフィスではたらきたい」(37.6%)が最多で、しかも前年比9.2ポイントも増加している。前年のトップは「ハイブリッド(テレワークとオフィス出社、テレワーク多め)」だったが、今回は33.7%(前年比4.7ポイント減)の2位となっている。
残業については、1位は「妥当性のある理由があれば、月15時間以内であれば問題ない」(37.0%)、2位「妥当性のある理由があれば、月30時間以内の残業は問題ない」(32.7%)という結果である。注目すべきは、「妥当性のある理由があれば、法定内残業(月45時間、年360時間)であれば問題ない」が前年比3.3ポイント増の20.4%と2割を超えている点である。一方で「残業理由に関わらず、残業はしたくない」(8.9%)は1割弱にとどまっている。残業に対する許容度は、われわれが思うより高いという印象ではないだろうか。
転勤については、「今後のキャリアにつながるなど納得感のある理由があり、期間が限定されていれば問題ない」(29.5%)と、「今後のキャリアにつながるなど納得感のある理由があれば問題ない(転勤期間も問わない)」(27.7%)との回答合計が57.2%で全体の約6割を占めた。一方、「いかなる理由があっても転勤はしたくない」(19.4%)は全体の約2割である。これも、一般に思うほど転勤忌避感は強くないという印象である。
新卒入社した会社で希望するはたらき方が叶わない場合の早期転職の可能性については、「最低3年ははたらいてから検討したい」が前年比7.3ポイント増の49.3%でほぼ半数となっている。一方で、「積極的に転職をすると思う」は前年の10.0%から4.7ポイント減の5.3%とごく少数である。「石の上にも三年」という言葉は、新入社員に関しては死語と思っている人も多いだろうが、どうもそうではないようだ。すぐに辞めることにはデメリットも多く、かえってタイパが悪いという認識なのだろうか。
このように、現役の大学生の勤労観は、一般的にわれわれが持つイメージと違って結構“昭和的”である。さらに言えば、これまで進行してきた脱昭和の流れはストップし、逆に昭和の働き方に回帰しているように見受けられる。
先の衆院選では、自身もハードワークで周囲にもそれを求める高市首相が若者の高い支持を受けた。ハードワークも辞さない、あるいは一定の理解を示す若者が増えているのだろうか。今回の調査結果が偶々の現象なのか、それとも今後傾向的に進んでいくのか注目したい。