
初任給アップとベースアップの波が公務員にも押し寄せている。
8月7日、人事院が2023年度の国家公務員の勤務時間と給与の改定について、国会と内閣に勧告を行った。
主な内容は、
・初任給の引き上げ(高卒:約8%・1万2,000円、大卒:約6%・1万1,000円)
・月例給の引き上げ(ベア):平均3,869円(0.96%)
・ボーナスの増額:年間4.4カ月→4.5カ月
・在宅勤務勤務等手当の新設:月額3,000円
などだ。
過去2年を振り返ると、2021年度は初任給アップ・ベアなし、ボーナス4.45カ月→4.3カ月、2022年度は初任給アップ(高卒4,000円/大卒3,000円)、ベア921円(0.23%)、ボーナス4.3カ月→4.4カ月だった。今回、思い切った引き上げをしたのがわかる。
背景には、公務員の魅力低下がある。人事院の川本総裁は、「公務の人材確保は、応募者の減少や若手職員の離職の増加などにより、依然として厳しい、危機的とも言える状況」と記者会見で述べている。
ところで、国家公務員の給与は民間との比較で決定される。上記のベア3,869円(0.96%)というのは、以下の算式から導き出されている。
(民間給与407,884円-国家公務員給与404,015円)÷国家公務員給与404,015円=3,869円(0.96%)
3,869円(0.96%)賃上げをすれば民間給与と同額になるというわけである。
民間給与は「職種別民間給与実態調査」で行われる。対象は企業規模50人以上かつ事業所規模50人以上の事業所だ。小規模企業や零細企業は含まれない一方、事業所単位なので、大企業の支店なども含まれるため、金額は高くなりやすいとされる。
従業員5人以上を対象とする「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、フルタイムで働く一般労働者の平均賃金は313.8千円で、上記の「職種別」よりも9万円以上低い。「職種別」は残業手当込みなので単純な比較はできないが、かなり高めなのは明らかだ。ちなみに「賃金構造」の大企業は 348.3 千円なので、こちらが「職種別」に近いと考えられる。
国家公務員の給与を大企業ベースで考えるのは、国家公務員は大企業勤務の人材と同クラスという発想に基づく。人事院は、国家公務員の内定者が内定を得た民間企業の規模は1,000人以上が6割を超えるという資料を示している。
さて、今回の給与引き上げで公務員の人気が高まるかといえば効果は限定的と思われる。むしろ重要なのは、長時間労働等のブラック職場のイメージの是正であり、さらには、その背景にある議員対応等の無駄・無意味な仕事からの解放だろう。本来の行政サービスに専念できるような体制づくりをし、国民の役に立っているとの実感を得られるようにすることだと思う。