2024/4/14

転職者の転職

 中途採用が増えている。4月8日の日経新聞では、同社が実施した採用計画調査で、採用計画に占める中途採用者の割合が、昨年から5.4ポイント増の43.0%となったことを報じていた。

 従来の新卒重視から中途採用にシフトしているのは、少子化で新卒者の絶対数が少ないこと、急速に進むデジタル化への対応のために専門人材が必要なこと、中核となる30代・40代が不足するいびつな人員構成の是正が必要なことなどがある。

 このように注目視される中途採用人材であるが、費用をかけて採用しても再び流出してしまう懸念もある。少なくとも一度は転職を経験している身だ。転職への抵抗感や長期雇用に対する期待は、転職未経験者に比べて低いと考えられる。

 企業側も、中途採用者が自社に長期間在籍することは期待していないようだ。マイナビが3月28日に発表した「企業の雇用施策に関するレポート2024年版」によると、中途採用担当者が想定する中途社員の平均在籍期間は約4年(47.5カ月)ということである。

 もっとも業種別に差があり、長いのは「メーカー」(57.0カ月)「金融・保険・コンサルティング」(56.9カ月)などで、短いのは「流通・小売・フードサービス」(30.2カ月)「医療・福祉・介護」(34.1カ月)である。おおかた業種別の平均勤続年数のイメージと一致する。

 5年以上を想定する採用担当者のコメントに「5年以内には採用に掛けた労力を回収できるから」とあったが、明確な年数を設定するかどうかはともかく、再流出を念頭に置いて採用しているのは確かだろう。

 短期間での流出を想定すれば、それに見合った費用対効果を設定することになる。効果の方は見通しづらいが、費用の方はある程度見通せる。まず、採用にカネや時間をかけない。極端な話、応募してきた人を最低限の審査で入社させる。そして、教育にもカネをかけない。現場のOJTに任せる。丸投げされった現場の方でも、どうせすぐに辞めるとわかっているので、熱心に教えようとはしない…。

 中には優秀な人がいて、そのような状況でも成長し、長期間働いてくれる人がいるかもしれないが、そういった人がいればラッキーというスタンスでは、ますます短期での流出が進む。さらに、現場の管理者や担当者も「このような会社ではやってられない」と見切りをつける事態にもなりかねない。まさに負のサイクルである。

 考えてみれば、中途採用が増えているということは、自社の人材が他社に移ってしまうリスクが高まっているということでもある。現場の中核となる社員、将来の経営を支える社員は、他社から見ても魅力ある人材であることを忘れてはならない。

 転職者の転職は防げないかもしれないが、できるだけ長くいてもらう努力をすることは、プロパー社員の流出予防にもなるということである。    

 


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