2025/5/18

管理職になりたくない理由の男女差

 各種の調査を見ると、管理職になりたくないという人の割合はおおよそ8割に上る。その理由はさまざまだが、男女間で違いがあるようだ。

 21世紀職業財団の『DEI推進状況調査(2024年)』によると、一般社員の総合職が管理職になりたくない理由として、女性が男性より10ポイント以上高かった項目は、

「管理職になるための能力・スキル・経験が不足しているから」(14.8ポイント)
「漠然とした不安があり、自信がないから」(14.2ポイント)

 の2つである。ちなみに「長時間労働になるから/家庭・プライベートとの両立が難しくなるから」は9.1ポイントの差であり、環境的な問題よりも、自信のなさといった精神的な問題のほうが、管理職昇進をためらわせる要因となっていることがうかがえる。

 その背景には、女性は男性に比べて、能力・スキルを磨く場や高い目標に挑戦する場が不足していたり、与えられていなかったりする可能性がある。

 調査では、総合職・エリア総合職の女性に「重要な仕事は男性と女性どちらが担当することが多いと思いますか」を尋ねている。結果は、「男性が担当することが多いと思う」(51.0%)、「男女関係ないと思う」(45.9%)、「女性が担当することが多いと思う」(3.1%)となっており、男性優位であることが示されている。男性の回答も順番に、41.1%、54.7%、4.2%となっており、男性自身も男性優位の傾向が強いことを示している。

 また、年代別男女別に「あなたの上司は日々の業務の中であなたに少し高い目標や経験値より少し困難な仕事を任せてチャレンジさせていますか」という質問に対する回答を見ると、どの年代でも、「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」の割合は、男性より女性のほうが低くなっている。

 このように日々の仕事の中で、男性に比べて女性は、能力を高め、成長を感じ、自信を得られる機会が少ないことが示されている。これは上司の責任ともいえるが、上司の認識はどうかといえば、「部下に対して男女同様に高い目標や経験値より少し困難な仕事を任せてチャレンジさせている」と認識している割合が8割を超えている。「男性に多くチャレンジさせている」と「女性に多くチャレンジさせている」の割合もほぼ同じである。つまり、上司としては特に差別はしていないという認識が強い。

 2026年4月から女性管理職比率の公表義務が101人以上規模に拡大されることもあり、女性管理職増加への関心は高まっている。一方で、女性が管理職に関心を示さないという声も多く聞く。さまざまな要因があるだろうが、高い目標に挑む機会を増やし、自信をつけてもらうことは重要なポイントといえそうだ。調査では、上司からチャレンジングな仕事を任されていると思う場合、昇進意欲が高い傾向にあることも示されている。会社・上司は、無意識のうちに男女で仕事の与え方を変えていないか、あらためて振り返ってほしいものである。        

 


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