2022/9/11

新入社員の意識~10年前との比較

 新入社員の意識調査というのは毎年いくつかのシンクタンクから発表されているが、リクルートマネジメントソリューションズが先日公表した「新入社員意識調査2022」は、10年前の調査結果との比較があるところがユニークである。

 筆者からすると10年前も今の若者も大きな違いはないと思えるが、結果を見ると、そうとも言えないようだ。ここでは、10年前とのギャップが大きい項目を見ていきたい。

 1つ目は、「あなたが社会人として働いていくうえで大切にしたいことは何ですか?(3つまで複数選択。以下も同じ)」という質問である。これに対して、ギャップが大きかったのは次の2つである(番号は全体の順位。カッコ内は10年前との比較)。

①仕事に必要なスキルや知識を身につけること 49.0%(11.5ptアップ)
⑧何があってもあきらめずにやりきること 13.9%(9.4ptダウン)

 大幅にアップあるいはダウンした項目に、何となく納得がいくのではないだろうか。次に、「あなたはどのような特徴を持つ職場で働きたいですか?」を見てみよう。

①お互いに助けあう 69.7%(20.6ptアップ)
③お互いに個性を尊重する 43.0%(12.4ptアップ)
⑤活気がある 29.5%(11.6ptダウン)
⑦お互いに鍛えあう 14.3%(11.6ptダウン)

 さきほどの納得感がさらに深まるのではないだろうか。「お互いに助けあう」は、2位の「アットホーム(44.6%)」を引き離して圧倒的なトップである。

 これら2つの結果から見えてくるのは、近年の新入社員がスキルや知識向上を通じての自己成長やメンバーとの和を重視する一方で、目標に向かってひたむきに頑張る、切磋琢磨するという姿勢は弱いということだ。このようなクールさは、ある意味合理的といえそうだが、「熱い」ことが好きな上司・先輩には物足りなさを覚えるかもしれない。

 3つ目の「あなたが上司に期待することは何ですか?」という質問に対する結果にも、そういった特徴が表われている。

②一人ひとりに対して丁寧に指導すること 44.2%(14.0ptアップ)
⑤よいこと・よい仕事をほめること 32.6%(12.9ptアップ)
⑥仕事に情熱をもって取り組むこと 22.5%(11.0ptダウン)
⑦言うべきことは言い、厳しく指導すること 21.1%(15.4ptダウン)
⑧周囲を引っ張るリーダーシップ 14.5%(11.7ptダウン)

 「一人ひとりに対する丁寧な指導」がここまで期待されるとは、上司からすればビックリなのではないかと思う。ちなみにトップは「相手の意見や考え方に耳を傾けること(54.1%)なので、これにも留意しながら丁寧な指導をすることが上司には求められる。「勘弁してよ」との嘆きが一部(大半?)の上司から聞こえてきそうである。

 それはともかく、「あきらめずに取り組む」「活気のある職場づくり」「仕事に情熱をもって取り組む」といったことは、新入社員研修や中堅社員研修などで当たり前に指導されることである。能力評価や行動評価、コンピテンシー評価などでも重視される内容である。ところが、新入社員はこれらに違和感、もっといえば抵抗感を覚えるかもしれない、ということだ。上司はどう指導すればよいか、課題となるだろう。

 「熱い」ことが苦手な筆者は、そういったイマドキの新入社員にシンパシーを感じる。もっとも、新入社員といっても多様であり、中には上司以上に「熱い」人もいるはずだ。上司・先輩からすれば、彼・彼女らの個性に応じた対応が基本となるのは間違いない。       

 


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