2022/7/31

自分の市場価値

 

「自分はもっと高い給料をもらってもよい、今の給料は低すぎる」と考える社員は結構いるのではないだろうか? いわば自分の市場価値をどう思うかだが、これについて興味深い調査があったの紹介したい。

 日本生産性本部の「第10回働く人の意識調査」で、勤め先から支払われている給与が、自身のキャリアや能力、成果から見て世の中の相場に見合っていると思うか、という質問をしている。結果は以下の通りである。

「相場より低いと思う」38.6%
「相場に見合っていると思う」30.3%
「相場より高いと思う」5.6%
「わからない」25.5%

 「相場より低い」つまり、自分の市場価値はもっと高いと考える社員が約4割で最多である。逆に、自分の市場価値はもっと低いと考える社員は非常に少ない。言葉を換えると、大半は「自分は給料以上の仕事をしている」と考えているわけである。

 「わからない」が4分の1もあるのは、転職が当たり前ではなく、労働市場が未成熟の日本ならではの特性だろう。欧米で同様の質問をすればもっと少ないのではないかと思う。

 年代別に「相場より低いと思う」を見ると、

「20代」29.0%
「30代」39.3%
「40代」43.1%
「50代」33.8%
「60代」45.8%
「70代以上」48.3%

 となっており、「40代」が1つの山となり、「50代」でいったん下がった後、「60代」以降で高くなっているのがわかる。「40代」で高いのは、業務推進の中核となる世代であり、「自分が部署や業務を牽引している」との自負から、もっともらえてもよいと思うのではないだろうか。「60代」以降は、定年再雇用等で給与が大きく下がったことの不満が影響していると思われる。

 このように概して社員の自己評価は高い。とはいえ、自己評価と実際の価格は別物である。中には実際に転職市場で“自分の実勢価格”を知っている人もいるだろうが、単に感覚的に回答している人も多いはずだ。

 一般に日本の労働者が持つスキルは、自社でしか役に立たないスキルが多いとされる。つまり、転職をすれば今の給料よりも下がるのが当たり前ということだ。以前よりはそういった傾向は薄れているものの、いざ転職しようとして、自分の市場価値が思ったよりも低いことに愕然とする人も多いに違いない。

 同調査で「現在転職を考えているか」という質問があるが、「転職するつもりはない」が60.6%である。「相場より低いと思う」人でも49.4%あり、転職に対する消極的な姿勢がうかがえる。相場より低いと思いつつも、実際には、今ほどもらえないのではないかと、心のどこかで考えているのかもしれない。

 市場価値については、人材紹介会社などがネットで簡単に提示してくれるので試してみるのもよい。ちなみに筆者は「525万円」と出た。愕然とまではいかないが、こんなものかとややショックを受けたのは確かである。            

 


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