2022/4/24

Z世代は転職志向?

Z世代は転職志向?

 Z世代は1990年後半から2010年にかけて生まれた世代だ。物心ついたときからデジタルな環境に囲まれ、保守的・現実的で自分への関心が高いなどと言われるが、近年はそのZ世代が新卒の社会人となってきている。彼・彼女らが、どのような働き方を望んでいるかといえば、会社に入っても長く勤めようとは思わず、転職志向が強いようだ。

 4月21日に発表された「マイナビ 2023年卒 学生就職モニター調査 3月の活動状況」によると、2023年新卒者が希望する働き方は以下のとおりとなっている(カッコ内は10年前の2014年新卒者の数字)。

・新卒で入社する会社に長く勤めたい 62.6%(73.3%)
・キャリアを優先して転職もいとわない 22.2%(18.7%)
・自分に適した働き方を優先。正社員にはこだわらない 10.8%
・いずれは独立して起業したい 3.6%

 この10年で「長く勤めたい」は10ポイントほど低下している。Z世代が新卒で入社し始める時期と重なっており、Z世代の志向を表わしていると推測される。

 ただ、この数字は緩やかに下降しているのではなく、2019年卒の72.1%から2020年卒の63.8%に一気に低下している。2019年卒前は75%前後を推移しており、2020年卒後は62%前後を推移しているのだ。2020年新卒であれば2019年3月頃に調査をしたと思われるので、コロナの影響ではない。

 2020年新卒でガクンと下がったのは謎であるが、1つの理由として考えられるのは、2012年末に始まった景気拡大が2018年の10月には後退局面に入ったとされており、先行きの不透明感が学生の気持ちにも反映されたことである。

 その後はコロナの影響により、不透明感がますます高まったに違いない。外食・旅行・運輸業などが厳しい状況に置かれるなか、企業は環境変化の大きな影響を受けることを強く認識したはずだ。どのような企業も明日はどうなっているかわからないのである。1つの会社に長く勤める気持ちが薄れるのもやむを得ない。社会はコロナとの共生に移っているが、以前のように70%を超えるようなことは、今後ないのではないかと思う。

 日本のZ世代は“失われた30年”の中で生まれ、育った世代でもある。繁栄や成長との縁は薄く、ある意味“諸行無常”の世界観が幼い頃から培われた世代といえる。そのような彼・彼女らが、入社した会社にずっといようと思わないのは自然のことかもしれない。            

 


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