女性活躍推進法では、企業に自社の女性活躍に関する情報の公表を求めている。公表項目は全部で16個あり、どれを公表するかは規模によって異なる。
社員数301人以上の企業は、「女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供」から「男女の賃金の差異」と、それ以外から1つ以上、「職業生活と家庭生活との両立」から1つ以上の計3つ以上である。また、101人以上300人以下の企業は、どれでも1つ以上の項目の公表が求められる。100人以下の企業には、公表義務はない。
それでは、実際に企業はどのような項目を公表しているのだろうか。今月、厚生労働省が公表した「女性活躍に関する調査」報告書によると、「300 人以上」の上位5つは以下の通りだ。
①「男女の賃金の差異」71.6%
②「女性労働者比率」58.7%
③「女性管理職比率」57.4%、
④「採用者における女性比率」56.4%
⑤「男女別の育休取得率」47.4%
第1位は、公表が義務化されている「男女の賃金の差異」である。義務化されていない「100~299人」では6.6%で第10位、「 30~99人」では1.3%の第14位である。「300 人以上」が突出して高く、仮に公表義務がないのであれば、第1位とならないのではないかと思われる。見方を変えると、だからこそ、格差是正を促すために公表義務を課したとも言える。
第2位の「女性労働者比率」は規模にかかわらず人気がある。「100~299人」で34.6%の第1位、「30~99人」で15.5%の第1位と、各規模で共通してトップ1・2を占めている。内容からして公表しやすいことが理由だろう。
第4位の「採用者における女性比率」も「100~299人」で第3位、「30~99人」で第3位と上位を占めている。
ただ、女性を男性と同等に活躍させているかの観点に立てば、「女性管理職比率」が重要だろう。「女性管理職比率」は、「300人以上」では第3位だが、「100-299人」で第4位、「30-99 人」は上位5つに入っておらず(第6位)、規模が大きい企業のほうが上位にきている。
厚労省の雇用均等基本調査によれば、規模が小さいほど女性管理職比率は高い。中小企業は女性管理職比率をもっとアピールしてよいと思う。
今度は、逆に公表率が低いものを見てみよう。「300人以上」でのワースト3は以下のものだ。
①「男女別の職種・雇用形態の転換実績」15.6%
②「男女別の採用の競争倍率」17.0%
③「雇用区分別の平均残業時間」17.3%
いずれもメジャーな指標とはいえず、人気がないのもうなずけるが、「男女別の採用の競争倍率」は、自社の採用状況の実態を知るうえで有効な指標になると思われる。数字を計算していない企業が多いと思うが、実際に公表するかどうかは別にして、算出してみる価値はあるのではないだろうか。