人材サービスのキャリタスがこの時期に発表している、入社1年目社員を対象とした「キャリア満足度調査」は、新入社員が入社1年を経て、自社に対してどのような印象を持ったかを知ることができ、非常に興味深い。
どれほど企業研究をしようと、また、インターンや面接をしようと、その企業の実態は実際に働いてみないとわからないものだ。よい意味でのギャップもあれば、悪い意味でのギャップもある。今回の調査から、特に目を引いたものをピックアップしてみたい。まずは、配属について。
・希望通りだったので、満⾜(54.8%)
・希望通りではなかったが、満足(26.0%)
・希望通りだったが、不満(10.3%)
・希望通りでなかったので、不満(8.9%)
昨今、新入社員がどこに配属されるかわからず、配属先によって不満を高める“配属ガチャ”が問題となっている。これもあってか、志望者の希望通りに配属させるケースが2/3(54.8%+10.3%)を占めている。もっとも、そのような配慮をしても不満を持つ人が一定数いることがわかる。
逆に、希望通りではなくても満足している人は、不満に思う人よりもはるかに多い(26.0%:8.9%)。仕事の適性はやってみなくてはわからないことや、“住めば都”はZ世代にも言えること、満足度が職場の人間関係等、仕事以外のものからも影響を受けることがうかがえる。
次に、会社に入って成長できたかである。Z世代は自己成長に強いこだわりがあるとされる。成長できていない、あるいは、今後成長できそうにない、と判断すれば、今の会社には見切りをつける。
・思っていた以上に成⻑できた(26.4%)
・思っていた通りに成⻑できた(37.4%)
・思っていたいほど成⻑できていない(34.1%)
・まったく成長できていない(2.1%)
6割以上は成長を実感している。その理由として挙げられたコメントを見ると、「サポートが手厚い」「責任ある仕事、大きな案件を任された」「自分を振り返る機会がある」など、新人が成長できるよう、会社が努力・工夫をしていることがわかる。
一方で、成長できていない理由の1つに「教育体制が整っていなかった」というのがあった。これに関し、調査では、配属後の研修・OJTの状況を、成⻑を実感しているグループと実感していないグループに分けて分析している。
結果を見ると、「上司や先輩に質問・相談しやすい」は、成⻑実感グループの64.4%に対し、成⻑実感していないグループでは50.9%と、15ポイント近い差が⾒られた。「自分自身のOJT担当がいる」「フォローアップ研修がある」等の他の項目では、大した差はないので、「上司や先輩への質問・相談のしやすさ」は、成長実感に大きな影響を与えていると言えそうだ。
この会社で成長できるかどうかは、若い世代の大きな関心事であり、会社に対する満足度、さらにはリテンションの意向も左右する。上司・先輩の立場にある人は、新人・若手に「質問・相談をしやすい」イメージを持たれているか、あらためて振り返ってみてはいかがだろう。