2022/5/22

在宅勤務の満足度は高い

 ホンダがテレワーク主体の勤務形態を、原則出社に切り替えたことが話題となっている。5月21日付けの日経新聞では、ワクチン接種が進んで感染拡大が落ち着いてきたことや、FVシフトなど事業変革にあたって対面が重視されることを理由に挙げている。強制ではなく、必要に応じて在宅勤務の活用を続けるとの会社のコメントもあるが、社員の気持ちはどうか気になるところである。というのも、一般に働く人の在宅勤務の満足度は高いからだ。

 日本生産性本部の第9回「働く人の意識調査」によれば、在宅勤務の満足度について、「満足している」(25.0%)と「どちらかと言えば満足している」(59.4%)の合計で84.4%と、“満足派”が大きな割合を占めている。

 ちなみに本調査は2020年5月からほぼ3ヶ月おきに実施されており、第1回目の調査では、“満足派”は57.0%(「満足している」18.8%、「どちらかと言えば満足している」38.2%)だった。その後、回を経るたびに増加傾向を示し、今般、過去最多となったということである。

 満足度が高まってきた理由として考えられるのは、環境面の改善である。調査でも、物理的な環境、通信環境、WEB会議のツールの使い勝手、資料・データのネットでの共有化といったテレワークの課題の解消が徐々に進んでいる様子が見られ、これに反比例して満足度が向上していることがわかる。

 また、マインドの問題もあるだろう。当初は戸惑いがあったものの、次第に慣れてきて、在宅勤務のデメリットよりもメリットを感じられるようになったということだ。

 「コロナ禍収束後もテレワークを行いたいか」との質問に対しても、「そう思う」(34.5%)「どちらかと言えばそう思う」(37.3%)の合計で7割を超えており、テレワークを続けたいとする意向が強い(もっとも、前回1月調査の「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」の合計80.4%からすると8.6ポイント減少しているが、1月は感染拡大傾向にあったことが影響していると思われる)。

 このような社員の意向を踏まえれば、原則出社とするよりも、出社か在宅勤務かを柔軟に選択できるハイブリッド型の方が望ましいのは確かだろう。

 さて、本件については、「あのホンダが原則出社?」と意外に受け止められていることも話題の1つである。ホンダといえば革新的なイメージもあり、むしろ在宅勤務推進というのが世間の見方だろう。ネットの記事や意見では否定的な反応が多いのも、“裏切られた”との思いを持つ人がいるからに違いない。

 もっとも、世の中の大勢として在宅勤務に向かう中、あえてその流れに逆行するという意味で革新的という見方もできるのだが。            

 


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