2022/1/9

上司はテレワークに消極的?

上司はテレワークに消極的?

 「テレワークをしたいか、したくないか」の質問に対して、一般社員は「したい」、管理職は「したくない」というのが大まかな傾向ではないだろうか。

 産業能率大学総合研究所が先月発表した「上場企業の課長のテレワーク利用状況調査」でも、上司がテレワークに消極的な様子がうかがえる。

 テレワークが導入されている企業の課長に、テレワークの理想の利用頻度について尋ねたところ、最も多かったのは「週に2~3回」(46.7%)で、次が「週に1回」(19.4%)、「毎日」(15.5%)は3番目となっている。「0回」も1割(9.9%)おり、管理職にはテレワークへの抵抗感が強いようだ。

 テレワーク制度が導入されて変化したこと(複数回答)の上位に挙げられたのは、「部下の労務管理が難しくなった」(35.7%)「ペーパーレス化が進んだ」(35.0%)「部署内の情報共有が難しくなった」(30.8%)、「社内調整がしづらくなった」(30.5%)「部下の人事評価が難しくなった」(23.9%)である。本来、期待される効果であるはずの「職場の生産性が向上した」は最下位の7.4%だった。

 管理職がテレワークに消極的なのは、要するに対面に比べて部下のマネジメントが難しくなり、成果・業績を上げづらくなったからだろう。当然、これまでとは違ったマネジメントの仕方が求められ、必要なスキルも変わってくるはずである。

 ではどのようなスキルが必要と考えているのだろうか。テレワーク環境で課長に求められるスキル(複数回答)については、「部下とのコミュニケーションで部下の状況を把握し支援するスキル(1on1場面など)」(50.5%)と「オンラインツール(オンライン会議システム,チャットツールなど)を活用するスキル」(49.2%)が、3位以下を大きく引き離して1位・2位となっている。ちなみに3位は、「上司(部長)や他部署の関係者を巻き込むスキル」(30.6%)である。

 2位の「オンラインツール…」については、新たに求められるスキルといえるが、要は慣れの問題で、時間の経過とともに解消していくものと考えられる。課題となるのは1位の「部下とのコミュニケーション…」のほうだ。

 これは、従来から求められていたスキルだが、部下の様子が見えづらくなっている分、部下の仕事内容や能力レベル、性格、行動特性などを踏まえ、部下に応じたより細やかなコミュニケーションが必要となるだろう。

 といって、部下の状態が心配だからといたずらにあれこれ指示をしたり、頻繁に連絡を求めたりするマイクロマネジメントは適切でない。上司の役割とは、部下が成果を出しやすい環境を整えることである。その基本に立ち返って、コミュニケーションの仕方を再構築するのが大切と思う。            

 


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