2021/12/19

コロナ禍のメンタルヘルスへの影響

メンタルヘルス

 12月2日に公表された日本生産性本部の第10回「メンタルヘルスの取り組み」アンケート結果では、企業の人事担当者にコロナ禍におけるメンタルヘルスへの影響を調査している。
 

 調査によれば、コロナ禍でのメンタルヘルスへの影響について、“悪化した”企業(「悪くなった」「やや悪くなった」と回答)が41.3%と約4割、“悪化していない”企業(「変化なし」「やや良くなった」「良くなった」)は58.7%と約6割となっている。

 “悪化していない”の内訳は、「変化なし」53.1%、「やや良くなった」5.6%、「良くなった」0%と、大半は「変化なし」が占める。総じて、”変わらない”か”悪化している”といえよう。

 メンタルヘルスが“悪化した”企業が、その要因として上位に挙げたのは次の4つである(複数回答)。

「コミュニケーションの変化」86.2%
「在宅勤務の増加」56.9%
「感染への不安」56.9%
「職場の対人関係の変化」46.6%

 コミュニケーションや人間関係といった職場環境の変化がメンタルヘルス悪化の主要因になっていることがわかる。一方で、仕事そのものの変化は以下のようにそれほど影響を与えていないようである。

「仕事の量の変化」20.7%
「ICT導入による仕事のやり方の変化」19.0%
「仕事の裁量の変化」13.8%
「仕事の難易度の変化」13.8%

 一方、メンタルヘルスが“悪化していない”企業が、その要因として上位に挙げたのは以下の通りである。

「在宅勤務の増加」66.7%
「職場の対人関係の変化」52.9%
「コミュニケーションの変化」47.1%
「ワークライフバランスの変化」27.5%

 「在宅勤務の増加」や「職場の対人関係の変化」は、“悪化した”企業を上回る数値となっており、これらは悪化要因になりうる一方で、改善要因にもなりうることを示している。ある雑誌で読んだが、外交性が高く自立性が低い人ほど、“テレワークうつ”になりやすいそうだ。こういった人には在宅勤務は悪化要因となり、逆に、外向性が低く自立性が高い人には改善要因になるといえるだろう。

コロナ禍のメンタルヘルスへの影響

 仕事面について、“悪化していない”企業の数値を見ると、

「仕事の量の変化」21.6%
「ICT導入による仕事のやり方の変化」23.5%
「仕事の裁量の変化」15.7%
「仕事の難易度の変化」2.0%

 と、「仕事の難易度の変化」を除き、“悪化した”企業と同等か少し上回る数値となっている。仕事の変化に対しても、マイナスではなくプラスととらえる人がいることがわかる。

 このようにコロナ禍での職場環境や仕事の変化は、企業全体でみればメンタルヘルスによい影響を与えているとはいえないものの、個々人においては、メリットを享受している社員もいるということである。その違いを生むのは何かといえば、外向性や自立性といった性格因子以外にも、柔軟性やITスキル、さらには通勤環境や住宅環境など、さまざまな要因が影響を及ぼすと考えられる。            

 


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