2021/10/3

NTTが転勤・単身赴任を廃止

単身赴任

 NTTが、全社的にリモートワークを基本とし、社員の転勤や単身赴任を原則として廃止する方針を示した。リモートワークをはじめデジタルネットワーク社会を推し進める通信企業のリーダーとして、まずは「隗より始める」ということだろう。

 リモートワークを進めるために、2022年度までに地域のサテライトオフィスを現在の4倍の260カ所以上に増やすとのことだ。もちろん、在宅勤務も認められるだろうから、自分の働きたい場所で働けるという社員に嬉しい仕組みを企図している。

 他にも、首都圏に集中している本社の管理部門などを地方の中核都市へ順次移転させるとのことで、とにかく、物理的に社員が集まらなくてもよい働き方を徹底するようである。

リモートワーク

 リモートワークの肝となる情報インフラに関しては、まさに自社のコアコンピタンスの部分なので問題はないはずだ。むしろ、自社での実践を通じてリモートワークシステムのノウハウを確立させ、他社に展開していくことを念頭に置いていると思われる。グループ社員約32万人というから、NTTで成功すれば、他の大企業にも活用できる可能性は高い。実際に活用できていれば、売り込みのときの説得力も高い。

 転勤や単身赴任を見直そうとする動きはコロナ前からあったが、コロナを契機に一気に加速しそうな雰囲気がある。背景にリモートワークの進展があるのは間違いない。コロナ前は、どちからといえばワークライフバランスの観点から転勤や単身赴任を無くそうとするものだったが、コロナ以後は、リモートワークの活用により、転勤・単身赴任の必要性が薄れてきているのである。理念先行から、実質的な手段が伴ってきたということだ。

 NTTでは、今のところ方針を示しただけで、具体的にいつまでに廃止するかは決めていないようだ。様子を見ながら徐々に減らし、目途がついたときに、完全に廃止することになるのだろうか。もっとも、巨大グループのなかには転勤が必要な業務もあるはずだ。それを一切無くすことができるのか、それとも、原則廃止という形に落ち着くのか、今後の展開に注目しておきたい。            

 


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