2020/2/10

70歳雇用の受け止め方

 65歳から70歳までの高年齢者に対する就業確保措置を企業の努力義務とする高齢者雇用安定法の改正案が閣議決定された。

 就業確保措置の中身は次のいずれかである。

・定年引上げ
・継続雇用制度の導入
・定年廃止
・労使で同意した上での雇用以外の措置(継続的に業務委託契約する制度、社会貢献活動に継続的に従事できる制度)の導入

 施行は来年4月が予定されており、いよいよ70歳雇用が現実味を帯びてきた。

 ところで、70歳雇用に関し、当の中高年労働者はどのように受け止めているのだろうか。連合が45歳~69歳の有職者を対象に実施した「高齢者雇用に関する調査2020」から、関連箇所を抜き出してみよう。

 まずは、何歳まで働きたいかについては、

・45 歳~49 歳 66.3 歳
・50 歳~54 歳 66.2 歳
・55 歳~59 歳 65.7 歳
・60 歳~64 歳 67.8 歳
・65 歳~69 歳 71.1 歳
・全体 67.4 歳

 となっており、65歳以上を除いて、70歳まで働きたいという労働者は今のところ少数派のようだ。

 次に、65 歳以降どのような働き方を望むかについては、

「現役時代と同じ会社(グループ含む)で正規以外の雇用形態で働く」(42.4%)
「現役時代と同じ会社(グループ含む)で正社員として働く」(33.1%)
「現役時代と異なる 会社で正規以外の雇用形態で働く」(21.2%)
「現役時代と異なる会社で正社員として働く」(12.1%)
「会社をやめてフリーランスとして働く」(12.1%)

 と自社での雇用を希望する者が4分の3を占めている。就業確保措置でいえば、65歳以降も継続雇用制度が中心となりそうである。
 また、正社員を望む者が全体の5割強を占めており、正社員志向が強いことがうかがえる。非正規社員の賃金の低さが影響しているのは間違いない。
 改正法が想定しているフリーランスや有償ボランティアといった働き方は少なく、大半の企業で選択肢とならないことが予想される。

 政府が進める70歳までの就労機会確保に向けた施策については、

「賛成」(71.4%)
「反対」(28.6%)

 ということだ。実際に70歳まで働くかどうかはともかく、その環境整備は望むということだろう。

 このように、今般の法改正は中高年労働者にとっては歓迎すべきものと受け止められるようだ。もっとも、人件費増加を懸念する企業や、その余波を受けそうな若年者には、ネガティブな意見を持つ者も多いに違いない。さらに、制度作りにあたる人事部門にとっては、働き方改革法への対応に忙殺される中、また新たな取り組みを迫られることになる。70歳雇用の受け止め方はさまざまと考えられる。    
 

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