2020/1/27

中小企業の働き方改革への対応状況

 昨年4月から本格的な施行が始まった働き方改革関連法は、今年4月から時間外労働の上限規制が中小企業にも適用されることで、いよいよ佳境を迎える。ところで、中小企業は着実に対応できているのだろうか。これについて、最近の2つの調査結果を見てみよう。

 1つは、東京商工会議所が会員中小企業に行った「中小企業の経営課題に関するアンケート」調査結果で、「年次有給休暇の取得義務化」、「時間外労働の上限規制」、「同一労働同一賃金」のそれぞれについて、対応状況を調査している。
 「対応済・対応の目途が付いている(既に必要な対応は終えた・現在取り組んでいる最中・対応が決まり、今後取り組む予定、の合計)としたのは次のとおり。

・「年次有給休暇の取得義務化」 68.9%
・「時間外労働の上限規制」 63.6%
・「同一労働同一賃金」 48.2%

 注意しなければならないのは、上記の数値外には、“対応が不要”も含まれていることだ。たとえば、「年休取得義務化」では、残りの31.1%のうち、「特に対応する必要がない」が16.8%を占めている。 
 小規模企業のほうがこの数値は高く、「同一労働同一賃金」に関しては小規模企業の39.0%が「特に対応する必要がない」としている(本当に対応が不要なのかという疑問はあるが)。これを除くと、対応が必要にもかかわらず対応できていないのは15~25%くらいである。

 もう1つ、エン・ジャパン社が従業員数1000名未満の企業を対象に実施した「働き方改革法」実態調査を見てみよう。

●“働き方改革法“への対応状況
・全て対応した・おおむね対応した(合計。以下同) 67%
・あまり対応できていない・まったく対応できていない 31%

●「年次有給取得の義務化」への対応状況
・全て対応した・おおむね対応した 83%
・あまり対応できていない・まったく対応できていない 14%

●「時間外労働(残業)の上限規制」への対応状況
・全て対応した・おおむね対応した 67%
・あまり対応できていない・まったく対応できていない 31%

●「同一労働同一賃金の義務化」への対応状況
・全て対応した・おおむね対応した 44%
・あまり対応できていない・まったく対応できていない 48%

 エン・ジャパン社のほうが数値が高めなのは、対象企業の規模が大きいものを含んでいるからと思われるが、概ね同様の結果が示されており、対応できていない企業が少なからずあることが推察される。

 年休義務化は既に施行されており、「時間外労働上限規制」はこの4月からだ。「同一労働同一賃金」は来年4月からとはいえ、対応にはそれなりの手間がかかる。零細企業であれば柔軟な対応ができるだろうが、50人を超えるような規模になると、場当たり的な対応ではトラブルの原因となる可能性が高く、きちんと仕組みを整える必要がある。

 課題が山積みでなかなか手を付けられないのも理解できるが、子供時代の夏休みの宿題と同様、放っておくとますます苦しくなるのは目に見えている。取り組み事項を整理し、着実な実践が望まれる。    
 

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