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2019/6/3

パワハラ防止法案が成立

 
 5月29日、パワハラ防止法案が参議院本会議で可決、成立した。といっても新たな法律ができたわけではなく、労働施策総合推進法(旧雇用対策法)の中にパワハラ防止に関する規定を盛り込む形となった。

 ポイントは次の3つ。

①事業主に、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、その雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を義務づける。
②相談を行ったこと等を理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いを禁じる。
③違反している事業主が勧告に従わなかったときは、その旨を公表する。

 ①の必要な体制とは、相談窓口の設置や発生後の再発防止策などである。法の施行は、大企業が2020年、中小企業が2022年の予定だ。大企業では既に実施済みが大半だと思うので、問題は中小企業ということになるだろう。

 ところで、①の下線部はパワハラの定義で、今般、初めて法律上、パワハラが定義されることになった。これまで厚労省では、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義していた。これと比べて気づくのは次の2点である。

 1つ目は、被害者の範囲の拡大である。「同じ職場で働く者に対して」という語句がなくなったことから、同僚に限らず取引先など、対象者をより広くとらえることができるようになったといえるだろう。
 付帯決議の中にも、パワハラ防止対策に係る指針の策定に当たり 「自社の労働者が取引先、顧客等の第三者から受けたハラスメント及び自社の労働者が取引先に対して行ったハラスメントも雇用管理上の配慮が求められること」 との文言があり、条文には取り込まれなかったものの、指針を通じて社外労働者も対象となる見込みである。

 2つ目は、「精神的・身体的苦痛を与える」が外れたことで、パワハラ行為の対象が狭くなる可能性があることだ。「精神的・身体的苦痛はあるものの、就業環境を害するとまではいえない」といった解釈も成り立つからだ。

 ③に関して、罰則は見送りとなった。これは、業務上の指導との区別が困難という経営側の意見を反映したものだろう。今後、厚労省ではパワハラの具体的行為を明示するとのことだが、どういう内容になるのか注目しておきたい。

 今回の改正、これまでパワハラそのものを規定する法律がなかったことを考えると、1歩前進であるのは確かだが、内容としては形式的で実効性は低いと言わざるを得ない。ただ、法制化されたことで社会のパワハラに対する視線がより厳しくなるはずだ。これを契機に結果的にパワハラが少しでも減ってくれればと願う。
 

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