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2019/1/15

働き方改革の改正労基法Q&A~その1

 
 昨年末、厚生労働省から働き方改革に関する改正労基法、改正安衛法、改正じん肺法の解釈を示した通達が出された。

 通達はQ&A形式となっており、改正労基法については、「フレックスタイム制」「時間外労働の上限規制」「年5日以上の年次有給休暇の確実な取得」「労働条件の明示の方法」「過半数代表者」の5項目、計38問が示されている。
 この中から、実際に疑問が生じそうでかつ、重要度が高そうなものをピックアップしてみたい。今回は、「フレックスタイム制」および「時間外労働の上限規制」である。なお、設問番号は通達のままで、内容はわかりやすいよう適宜変更を加えてある。

1.フレックスタイム制
(問1)
 清算期間が1箇月を超えるとき、清算期間を1箇月ごとに区分した各期間を平均して1週間当たり50時間を超えて労働させた場合、36協定の締結と割増賃金の支払は必要か?
(回答)
 時間外労働に該当するため、36協定の締結と届出を要し、清算期間の途中であっても、当該各期間に対応した賃金支払日に割増賃金を支払わなければならない。

 「清算期間の途中であっても」その都度支給しなければならないのがポイントである。

(問3)
 月60時間を超える時間外労働に対しては5割以上の率で計算した割増賃金を支払う必要があるが、清算期間が1箇月を超えるフレックスタイム制に対してはどのように適用するのか?
(回答)
 清算期間を1箇月ごとに区分した各期間を平均して1週間当たり50時間を超えて労働させた時間が月60時間を超える場合は、5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
 また、清算期間を1箇月ごとに区分した各期間の最終の期間においては、
当該最終の期間を平均して1週間当たり 50 時間を超えて労働させた時間+当該清算期間の総実労働時間-(①当該清算期間の法定労働時間の総枠+②当該清算期間中のその他の期間において時間外労働として取り扱った時間)が60時間を超える場合は、5割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

(問4)
 1ヶ月および複数月の時間外休日労働の上限規定は、清算期間が1箇月を超えるフレックスタイム制に対してはどのように適用するのか?
(回答)
 清算期間が1箇月を超える場合のフレックスタイム制においては、清算期間を1箇月ごとに区分した各期間について、当該各期間(最終の期間を除く。)を平均して1週間当たり 50 時間を超えて労働させた時間に対して適用される。
 また、清算期間を1箇月ごとに区分した各期間の最終の期間においては、
当該最終の期間を平均して1週間当たり 50 時間を超えて労働させた時間+当該清算期間の総実労働時間-(①当該清算期間の法定労働時間の総枠+②当該清算期間中のその他の期間において時間外労働として取り扱った時間)について適用される。

 問3問4は、1ヶ月超のフレックスタイム制における時間外労働の考え方を示している。特に清算期間の最終期間の取扱いに留意したい。なお、問4の回答で、「長時間の時間外労働を行わせることは、フレックスタイム制の趣旨に合致しない」と指摘し、長時間労働に対する注意を促している。

2.時間外労働の上限規制
問5
 36協定を対象期間の途中で破棄・再締結し、対象期間の起算日を当初の時間外・休日労働協定から変更することはできるか?
(回答)
 時間外労働の上限規制の実効性を確保する観点から、1年についての限度時間や限度時間を超えて労働させることができる月数は厳格に適用すべきものであり、対象期間の起算日を変更することは原則として認められない。
 なお、複数の事業場を有する企業で対象期間を全社的に統一するなど、やむを得ず対象期間の起算日を変更する場合は、36協定を再締結した後の期間も再締結後の36協定を遵守することに加え、当初の36協定の1年の延長時間及び限度時間を超えて労働させることができる月数を引き続き遵守しなければならない。

 やむを得ない場合は起算日の変更も可能だが、その際は、当初の36協定の内容を引き継ぐ必要があるとのことだ。

問6
 特別条項の対象となる「通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合」とは具体的にどのような状態をいうのか?
(回答)
 全体として1年の半分を超えない一定の限られた時期において、一時的・突発的に業務量が増える状況等により限度時間を超えて労働させる必要がある場合をいい、「通常予見することのできない業務量の増加」とは、こうした状況の一つの例として規定されたものである。
 その上で、具体的にどのような場合を協定するかについては、労使当事者が事業または業務の態様等に即して自主的に協議し、可能な限り具体的に定める必要がある。なお、法第 33 条の非常災害時等の時間外労働に該当する場合はこれに含まれない。

 具体的な状況については言及をせず、労使間の話し合いに委ねた。所定の届出様式には、「業務の都合上必要な場合、業務上やむを得ない場合等恒常的な長時間労働を招くおそれがあるものを記入することは認められない」と、従来の特別条項と同様の文言がある。したがって、基本的にこれまでと同じ表現でよいと思われる。

問7
 同一企業内のA事業場からB事業場へ転勤した労働者について、①限度時間、②1年についての延長時間の上限、③1ヶ月および複数月の時間数の上限は、両事業場における当該労働者の時間外労働時間数を通算して適用するのか?
(回答)
 ①と②は、事業場における36協定の内容を規制するものであり、特定の労働者が転勤した場合は通算されない。これに対して、③は、労働者個人の実労働時間を規制するものであり、特定の労働者が転勤した場合は通算して適用される。

 転勤等異動時の36協定の取扱いについては、これまで明確な定めがなかった。企業の取扱いとしては、労働者の保護という労働基準法の趣旨に照らし、通算するケースが多かったのではないかと思う。しかし、本通達では通算の必要はないと明示した。この考え方に従えば、異動により特別条項もリセットされることになる。特別条項は1年間に6か月しか使えないが、異動前の6か月と異動後の6か月、つまり年間を通して特別条項を適用することも理論的には可能となる。結構、重要な内容を含んだ回答である。

問14
 限度時間等の規制の対象外となる「新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務」の具体的な範囲は?
(回答)
 「新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務」は、専門的、科学的な知識、技術を有する者が従事する新技術、新商品等の研究開発の業務をいい、既存の商品やサービスにとどまるものや、商品を専ら製造する業務などはここに含まれない。
 
 木で鼻をくくったような回答というのは言い過ぎか。既存の商品・サービスの研究開発など普通はないだろうし、専ら製造する業務であれば、これに該当しないことは誰にでもわかる。この回答から導けるのは、一般的な研究開発業務であればOKということだろうか。

 次回は「年5日以上の年次有給休暇の確実な取得」についてまとめてみたい。

 
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