2018/8/6

部下は上司を尊敬しているか?

 人事労務サービスのレジェンダ・コーポレーションが、入社9年目までの若手社員に「上司を尊敬しているか」などの意識調査を行っている。いろいろとタメになりそうなので結果を紹介したい。

 まずは、「上司を尊敬していますか?」という問いに対する結果である。
「尊敬している」32.4%
「やや尊敬している」 42.8%
「あまり尊敬していない」17.0%
「尊敬していない」7.8%

 このような直球の質問は、社内調査ではなかなかできないので興味深い(社内でやると「尊敬していない」とは答えづらい)。結果は4分の3が尊敬、4分の1が尊敬せず、ということになった。まあ、こんなものかという数字である。では、どういうところが決め手となるのか、次の設問が参考になる。

 「上司に求める人間力は何ですか?(複数回答)」という質問に対する上位5つは次のものだ。
「コミュニケーションスキル」51.9%
「リーダーシップ」51.2%
「専門的な知識・ノウハウ」39.9%
「論理的思考力」36.5%
「他者を尊重し切磋琢磨しながらお互いを高め合う力」32.3%

 ビジネスパーソンとしていずれも重要なスキルだが、「論理的思考力」が入っていることに注目したい。一般に上司に求められる能力とされてきたものとはちょっと異質だからである。実際、上司にその有無を問えば、自信がないと答える人が多いのではないだろうか。最近の若手社員は、こういった点からも上司の力量を測っているということだ。

 次の設問は人事制度づくりにおいて参考となる。「上司との会話や面談は、仕事をするうえでのモチベーションの向上につながりますか?」である。
「はい」50.9%
「どちらともいえない」36.3%
「いいえ」12.8%

 「はい」が半分を超えているのは、面談の効果や必要性を呼びかけている筆者にとって嬉しい結果となった。「いいえ」が1割強あるのは、先に見たように尊敬していない上司が1割弱いることにも関連しているだろう。尊敬しない上司との会話が、ヤル気につながるとはとても思えないからである。

 最後は、「最近、上司から言われて心動かされた言葉は?(自由記述)」という実際に活用していただきたい項目である。上位5つは次のものとなった。
「キミならできる」
「期待しています」
「信頼しているぞ」
「休める時に休め」
「会社の看板で仕事をするな」

 特に上の3つはシンプルでベタな言葉だが、効果があるということだ。普段、誉めることに不慣れで、気恥ずかしくて使えないという人がいるかもしれないが、そういう上司こそ効果的と考えたい。ただ、気をつけなければならないのは、上辺の言葉でなく本当にそう思っている必要があることだ。口先だけで部下の心を動かせるほど世の中は甘くない。

 ついでながら、筆者が最も心を動かされる言葉が6番目にあった。「責任はとるから、自由にやっていい」である。そういう上司に恵まれれば、会社員生活も多少は長く続いたかもしれない。



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