
2025年4月1日から施行される改正育児介護休業法のポイントをまとめておきたい。
1.育児に関する改正
①子の看護休暇の見直し
対象となる子の範囲が、小学校就学始期までから、小学校3年生修了までに拡大される。取得事由についても、学級閉鎖や入学式等の行事参加の場合にも取得可能となる。これに伴い、「看護休暇」という名称も「看護等休暇」に変更となる。また、対象労働者について、これまで労使協定を結ぶことで除外できた「継続して雇用された期間が6ヵ月未満の労働者」の要件が撤廃される。つまり、入社後すぐであっても看護等休暇の取得ができるということだ。
②所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大
これまで3歳未満の子を養育する労働者が対象だったが、小学校就学始期に達するまでの子を養育する労働者まで拡大される。なお、介護に関しては、所定外労働の制限に変更はないので注意したい。
③育児休業取得状況の公表義務の拡大
現行法で従業員数1,000人超の企業に課されていた育児休業等の取得状況の公表義務が、従業員数300人超の企業まで拡大される。この規定は、「施行日以後に開始する事業年度」から適用される。また、「事業年度終了後、おおむね3か月以内の公表」が求められる。たとえば、2025年3月決算の企業であれば、2025年6月末までに2024年度の状況を公表する必要がある。
④育児短時間勤務の代替措置の追加
労使協定により育児短時間勤務の対象外とした労働者には、フレックスタイムや時差出勤等の代替措置を講じなければならないが、これに、「在宅勤務等」が追加された。
⑤3歳未満の子のための在宅勤務等の努力義務化
小学校就学始期に達するまでの子を養育する労働者には、育児目的の休暇制度やフレックスタイム、時差出勤等の措置を講じることを努力義務としているが、これに、3歳未満の子を育てる労働者に対する在宅勤務等の措置が追加された。
2.介護に関する改正
①介護休暇の対象労働者の見直し
1①で述べた育児休暇と同様に、労使協定を結ぶことで除外できた「継続して雇用された期間が6ヵ月未満の労働者」の要件が撤廃となる。社員の立場からすると、入社後すぐであっても介護休暇の取得ができることになる。
②介護両立支援制度等の個別周知・意向確認
現行法で育児休業に関して義務付けられている制度の個別周知や意向確認が、介護休業にも求められるようになる。具体的には、家族の介護が必要となったことを申し出た労働者に対して、介護休業や介護休暇、所定外労働の制限等の介護両立支援制度等の周知をするとともに、利用についての意向確認が必要となる。周知・意向確認の仕方は、面談、書面交付が原則で、労働者の希望があるときのみファクス、電子メールも認められる。
③介護両立支援制度等の早期の情報提供
労働者が40歳に達する年度、または40歳になってから1年間の間に、介護両立支援制度等の情報提供をすることが求められる。提供内容は、②と同じものである。提供の仕方は、面談、書面交付、ファクス、電子メールである。②と違って、労働者の希望がなくてもファクス、電子メールで可である。
④介護両立支援制度等を利用しやすい雇用環境整備
育児休業に関してすでに義務付けられている雇用環境整備が介護休業にも求められることとなった。具体的には、研修の実施、相談体制の整備、事例の収集・提供、利用促進の方針周知のうち、いずれかの措置を講じることが義務付けられる。
⑤介護のための在宅勤務等の努力義務化
介護休業をしていない労働者に対して、就業しながらの介護を容易にするための在宅勤務等の措置を講じることが努力義務となった。