2024/1/7

週40時間制となって30年

 2024年が明けた。ところで30年前の1994年がどういう年だったかといえば、日本では「自社さ連立」の村山内閣の発足があり、海外では、米中間選挙で民主党が歴史的な大敗を喫し、パレスチナ解放機構のアラファト議長とイスラエルのラビン首相らが中東和平でノーベル平和賞を受賞した。なにやら2024年を暗示させるような出来事があったわけだが、日本の労働者にとっても大きな出来事があった。それは、週40時間労働が労働基準法で原則化されたことである。

 今ではごく当たり前の週40時間労働も、それ以前は週48時間で、多くの会社員は土曜日にも働くのが普通だった。

 ここで、労働時間規制の経緯をたどってみると、戦前は労基法の前身となる1916(大正5)年施行の工場法による規制があった。もっともその内容は、15歳未満(大正12年改正で16歳未満)の者と女子の1日の最長労働時間を12時間(同改正で11時間)とするもので、週の労働時間の制限はない。休日は毎月2回以上なので、月に348時間(12時間×29日)働かせることができる何とも過酷な基準であった。

 しかも、あくまで「工場法」なので、工場の職工以外は適用外で、さらに工場であっても15歳以上(改正後は16歳以上)は適用外なので、労基法のように労働者全般を保護するものではなかった。

 もっとも、当時の工場の半分は繊維工場で、女性や年少者の労働者が多く、日本の工業労働者の7割近くが保護対象になったという。いわば「女工哀史」を救済することが工場法の目的だったようである。

 敗戦を経て、経済の民主化が進む中、当時の国際標準であった1日8時間・週48時間制が1947(昭和22)年の労基法制定時に規定された。

 その後、1987(昭和62)年の改正により、規定上は1日8時間・週40時間制に改められた。しかし、即座に週40時間とするのは無理なことから、1991(平成3)年3月末までは週46時間、1994(平成6)年3月末までは週44時間とする段階的措置がとられ、1994年4月から晴れて週40時間が実現したわけである。

 筆者が社会人になったのはまさにこの過渡期のころで、入社したときは月に何日か土曜日も働き、確か1991年から完全週休2日になったことを記憶している。

 さて、今後、週の労働時間のさらなる短縮はあるのだろうか。外国ではフランスの35時間、デンマークの37時間などがあるものの、40時間がまだまだ主流のようだ。

 1日8時間労働で週休3日を想定して週32時間とするのはさすがにハードルが高すぎる。現実的には週35時間くらいになるのだろうか。いずれにしても、週48時間が50年近く続いたように、週40時間もそれくらい続くのかもしれない。    

 


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