2022/12/4

パートタイマーの処遇の現状

 11月25日、厚生労働省から「令和3年パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査」が発表された。同一労働同一賃金を定めたパート有期労働法が施行されたのは2020年4月(中小企業は2021年4月)である。調査対象は2021年10月時点なので、大企業は1年半、中小企業は半年経過後の状況ということになる。

 施行を受けて、正社員との待遇格差がどうなっているか、主な項目をピックアップしてみよう。なお、調査は「無期雇用パートタイム」「有期雇用パートタイム」「有期雇用フルタイム」の3つに分けて実施されているが、ここでは、いわゆるパートタイマーが該当する「有期雇用パートタイム」の結果を示す。

 まず、正社員に対する手当の支給割合を見ると、
・通勤手当84.7%
・精勤手当23.9%
・家族手当12.9%
・住宅手当8.4%
 となっており、通勤手当を除いて低いことがわかる。

 精勤手当は、同一労働同一賃金ガイドラインでは、「通常の労働者と業務の内容が同一の短時間・有期労働者には、通常の労働者と同一の精皆勤手当を支給しなければならない」と示されている。同調査では、「正社員と職務が同じであるパートタイム・有期雇用労働者がいる」企業の割合は 21.5%である。約2割ということで、これを当てはめれば、23.9%という数字は妥当と言えそうだ。

 家族手当と住宅手当は、ガイドラインで示されておらず、判例が頼りとなるが、その判例もまちまちというのが実情である。概して言えば、パート・有期労働者には支給しなくてもOKという判断が優勢か。もっとも基本的には、職務が同じであればパートタイマーであっても支給すべきであり、上記の2割という数字からしても、少し低すぎの感がある。法施行時には、この2つの手当の取り扱いをどうするかが大きな注目を集めたが、結局のところ先送りする企業が多かったと言えそうである。

 次に賞与・退職金を見ると、
・賞与44.1%
・退職金10.2%
 といずれも思ったより高いという印象ではないだろうか。とはいえ、正社員と同様の基準・方法で支給する企業は少なく、金一封や寸志といったものが多いことが推察される。

 休暇面では、
・法定外の休暇(夏季冬季休暇や病気休暇など)66.8%
・慶弔休暇61.8%

 とこれも意外と高いように思う。ただ、法定外の休暇は、多くが夏季冬季休暇で病気休暇は少ないのではないだろうか。

 最後に定昇と評価を見てみよう。
・定期的な昇給42.5%
・人事評価・考課46.0%
 これも意外と高いと思えるが、定昇については、「昇給することがある」「会社業績によっては昇給しないことがある」といった規定で実際には行っていないというケースも多いだろう。もっとも、今年は物価上昇を受けて実施する企業も増えると考えられる。       

 


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