2022/1/30

男性育休取得の壁は上司?

男性育休取得

 育児介護休業法の改正で産後パパ育休が創設されるなど、男性の育児休業取得促進に向けた環境整備が進んでいる。

 政府は2025年までに育休取得率30%を掲げており、まずは自ら模範を示せと、2020年度の男性国家公務員の育休取得率は51.4%と5割を超えている。一方、民間企業はどうかといえば、2020年度は12.65%でまだまだ低い。


 低いのはなぜか? 1月に発表されたパーソルキャリア社の「男性育休に関する意識調査第2弾」で、「男性育休の取得について心配なこと」として上位に挙げられたのは以下の3つである。

「収入が減るかもしれない」40.9%
「上司・部下・同僚など、勤務先に迷惑をかけるかもしれない」38.0%
「勤務先での評判が悪くなるかもしれない」27.2%

 収入面はともかく、他の2つは周囲の理解、特に上司の理解が大切といえる。そこで、上司は男性の育休をどう見ているのか、同調査では「部下の男性が育児休暇を取得することについて、どのように思いますか」という質問を、取得期間に応じて回答してもらっている。1~3日、2週間~1ヶ月、7ヶ月以上の回答は以下の通りである。

設問1~3日2週間~1ヶ月7ヶ月以上
①積極的に取得すべきである。56.2%26.5%16.7%
②どちらかといえば取得には賛成である30.3%41.5%32.5%
③あまり取得には賛成できない5.5%23.5%25.7%
④取得すべきではない8.0%8.6%25.1%
 
 ①②を賛成、③④を反対とすると、取得期間が長くなるにつれ、賛成の割合が減っていることがわかる。

 それにしても、1日であっても男性は育休は取るべきでないと考える上司が8%いることも驚きである。おそらく、そのような上司の下では、育休だけでなく年次有給休暇も取りづらいのだろうなと推測する。

 回答から、1ヶ月以内であれば賛成が7割を占めるが、1ヶ月を超えると5割強となり、上司の視線が厳しくなるという印象である。どうやら1ヶ月というのが分岐点といえそうだ。

 実際、男女の取得日数を見ても、8ヶ月以上は男性3.1%に対し女性80.6%、1ヶ月未満は男性81.0%に対し女性0.9%と、男女でほとんど逆の数値となっている(平成30年度雇用均等基本調査)。男性は取っても1ヶ月というのが実態である。

 長期取得に消極的な管理職の中には、部下の昇給や昇格を心配してという人もいるだろう。ただ、ブランクが生じることで、いったん昇給や昇格に遅れが生じるのは仕方が無い。重要なのはその遅れを取り戻せるかどうかで、長期の取得したことで、今後の昇格や昇給が見込めなくなる、端的にいえば出世レースから脱落してしまうような企業だと、男性の育休取得は進まない。となると、個々の管理職の問題というよりは会社の制度・仕組み・風土の問題であり、経営者の問題である。

 男性の育休取得の壁を壊せるかどうかは、最終的には経営トップにかかっているといえるだろう。            

 


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