2021/8/22

管理職の仕事の裁量度~その2

管理職の仕事の裁量度

 前回に続き、管理職の仕事の裁量度について、労働政策研究・研修機構の「管理職の働き方に関する調査」を確認をする。今回は「上司の業務指示の程度」である。「上司の業務の指示はどのようになっていますか」という設問に対し、管理職全体では次の通りである。

「仕事の進め方を含め具体的な仕事の内容についての指示がある」(12.6%)
「業務の目的、目標や期限等基本的事項についてのみ指示がある」(71.7%)
「指示はない」(14.3%)

 役職クラス別にみると以下の通りで、やはり、地位が高いほど裁量度が高くなっていることがわかる。

「仕事の進め方を含め具体的な仕事の内容についての指示がある」
・支社長等クラス (12.7%)
・部長クラス (10.5%)
・課長クラス (11.6%)
・係長クラス (21.8%)

「業務の目的、目標や期限等基本的事項についてのみ指示がある」
・支社長等クラス(64.4%)
・部長クラス (67.8%)
・課長クラス (75.9%)
・係長クラス (67.4%)

「指示はない」
・支社長等クラス(21.0%)
・部長クラス(19.8%)
・課長クラス(11.6%)
・係長クラス (9.3%)

 「具体的な指示がある」は、係長クラスで差があるものの、支社長等~課長クラスまではいずれも10~12%程度で大差ない。1割とはいえ、支社長クラスで具体的指示の下に仕事をする(させる)のはいかがなものかと思われる。

 以上から、管理職といえども、すべて自己の裁量で仕事をしているわけではなく、大半が何らかの指示を受けているというのが実態だ。特に、大企業ではその傾向が強いといえそうである。

 もっとも、以前に比べれば裁量度は高まっている。平成17年の調査では以下の通りとなっている(カッコ内は同条件での令和2年調査)。

「仕事の進め方を含め具体的な仕事の内容についての指示がある」
・支社長等クラス 11.1%(10.5%)
・部長クラス 8.6%(9.7%)
・課長クラス 16.3%(11.5%)
・係長クラス 25.4%(18.4%)

「指示はない」
・支社長等クラス 13.9%(22.7%)
・部長クラス 11.7%(19.9%)
・課長クラス 6.4%(11.8%)
・係長クラス 6.3%(10.2%)

 エンパワーメントが浸透してきたのか、それとも人員不足で任せざるを得ないのかはともかく、業務の裁量度が高まるのは望ましいことであり、その方向に前進しているのは救いである。         
 


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