世界経済フォーラムが今年3月に公表した男女格差を測る“ジェンダーギャップ指数”で、日本の順位は156か国中120位(前回は153か国中121位)となった。先進国の中で最低レベルであり、アジア諸国の中で韓国や中国、ASEAN諸国より低いという。
指数は、「経済」「政治」「教育」「健康」の4分野のデータから作成されるが、足を引っ張っているのは「経済」「政治」で、「経済」の順位は156か国中117位ということだ。その要因の1つに指摘されているのが、管理職に占める女性の割合の低さである。
それでは、直近の女性管理職の状況はどのようになっているだろうか。厚生労働省が7月末に公表した2020年度「雇用均等基本調査」結果を見てみよう。
まず、課長相当職以上の女性管理職(役員を含む)を有する企業割合は52.8%(前年度51.9%。以下カッコ内は前年度)と、わずかながら前年度よりも増えている。
また、女性管理職を有する企業割合を役職別にみると、
・部長相当職ありの企業:13.1%(11.0%)
・課長相当職ありの企業:20.8%(18.4%)
と、これも増加していることがわかる。
ところで、これを見て「あれ?」と思う方も多いだろう。女性管理職を有する企業割合が5割を超えているはずなのに、部長・課長の役職別で見るとやけに少ないからだ。謎解きをすれば、女性管理職に役員を含んでいるからである。女性役員を有する企業は34.8%と部長、課長がいる企業よりも多いのだ。これは、調査対象企業が10人以上であり、小規模企業では社長の配偶者や肉親が役員に就任するケースが多いからと考えられる。
続いて、役職別の女性割合を見てみよう。
・役員20.3%(20.1%)
・部長相当職8.4%(6.9%)
・課長相当職10.8%(10.9%)
規模別にみると、どの管理職割合においても10~29人規模が最も高く、役員の女性管理職割合が25.4%、部長相当職が16.6%、課長相当職が 16.1%となっている。
一方、5,000人以上の大規模企業では、役員3.4%、部長相当職4.3%、課長相当職7.4%と小規模企業に比べてかなり低い。
このように大企業では特に女性役員の割合が低いのが目立つ。しかも、そのうちの大半は社外取締役と想定される。日経xwomanの「女性取締役比率ランキング」によれば、東証1部の時価総額上位300社の女性取締役のうち9割は社外取締役だそうだ(354人/393人)。ちなみに300社の全取締役数は3,115人なので、これに占める女性社内取締役の割合は、わずか1.3%ほどである。
社内取締役の多くは自社の出世階段を上がってきた人たちだ。女性管理職が少ない現状において、女性社内取締役が極端に少ないのも当然の帰結といえる。まずは、女性部長が増えなければならず、そのためには女性課長が増えなければならない。
その実現は長い道のりとなりそうだが、現在、女性管理職が牛の歩みながら増えているのも事実だ。会社として政策的に増やそうとしているところもあるだろう。そのような会社が波及的に増え、少しでも早く他国並になることを期待する。