重本コンサルティングオフィス
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2020/6/28

人事制度は万能ではない

 経営者から人事制度構築や改定の相談を受けた際、「制度を変える(あるいは作る)ことで社員のやる気を高めたい」「新たな人事制度で組織風土を変えたい」との要望をいただくことがある。背景には、「社員のモチベーションが低い」「社内のコミュニケーションが不足している」「ぬるま湯状態で危機意識がない」などがある。

 それ自体は特に問題ないのだが、少々気になるのは、制度を変えることでそれらを是正できるとの思いが見受けられることだ。要するに人事制度を変えれば、もっと言うと変えさえすれば、組織も社員も良い方向に向かうと思っておられる方がときどきいらっしゃるのである。

 だが、考えてみてほしい。たとえば典型的なブラック企業が、よい人事制度を導入することで社員が辞めなくなり、どんなにサービス残業があっても、どんなに上司から罵倒されても、いきいきと働くようになる―ことはないだろう。

 そもそも人事制度、というか人事部門は何のためにあるかといえば、組織がその目的を永続的に達成していくために、一定のコストの下、良質で十分な量の人的資源を供給することと考えられる。つまり、人的資源の質と量を確保することが人事部門・人事制度の役割であり、これが実現できていれば人事部門・人事制度が機能していることになる。

 質とは端的には各社員の能力の高さだが、能力が高くても発揮してもらわなければ質がよいとはいえない。発揮のために必要なのが各自のモチベーションである。つまり、質は「能力×モチベーション」で表される。量は人員数のことで、適正人数の確保のためには、離職防止と新規人材の獲得が求められる。

 いずれも人事制度は大きく関与するが、すべてでないことは理解できると思う。もしこれらが、人事制度によってコントロールできるのであれば、冒頭の経営者の思いは正しい。

 特にコントロールが難しいのはモチベーションだ。社員のモチベーションには、給与や昇進などのほかにも、仕事のやりがいや面白さ、経営者のビジョン、組織文化、人間関係、さらにはプライベートの問題など多岐にわたるものが影響する。人事制度はその一部でしかない。

 これらの要因を一言でいえば、会社に対するエンゲージメント(社員の自社への愛着度合い)ということになる。エンゲージメントが高ければ、モチベーションも高まる。

 ちなみに、人事制度とエンゲージメントとの関係は、人事制度はエンゲージメントの向上にそれほど影響しないが、エンゲージメントの低下には大きく影響するとされる。たとえば、給与が上がってもエンゲージメントはそれほど高まらないが、給与が下がるとエンゲージメントは低くなるという具合だ。

 会社に対するエンゲージメントが高く、会社にマッチしたよい人事制度であって初めて人事制度は機能する。言葉を換えれば、どんなによい制度を導入したところで、エンゲージメントが高くなければ機能しない。もちろん、全く機能しないというわけではないので、多少は改善するだろうが、少なくとも経営者が思い描いている状態へと持っていくには、人事制度だけでは困難ということだ。人事制度はそこまで万能ではない。     
 

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