2019/12/1

66歳以上でも働ける

 厚生労働省が先月22日に公表した2019年「高年齢者の雇用状況」集計結果(※)を見ると、高齢者の働くことのできる場が増えており、高齢労働者も増加していることがはっきりと示されている。
(※)従業員31人以上の企業161,378社の2019年6月1日現在状況をまとめたもの。

 少し驚いたのは66歳以上でも働ける企業が結構な割合であることだ。65歳まで働くのはもはや当たり前で、それ以上であっても働ける環境が整いつつあるようだ。
 
 66歳以上働ける制度のある企業は、49,638社[対前年(以下同)6,379社増加]で、報告した全ての企業に占める割合は30.8%[3.2ポイント増加]となっている。

 企業規模別では、

①中小企業 45,392社[5,693社増加]、31.4%[3.2ポイント増加]
②大企業 4,246社[686社増加]、25.3%[3.5ポイント増加]

 と、中小企業の方が割合は大きい。人手不足や人材不足の影響と思われる。

 制度の中身を見ると、

・定年制の廃止 2.7%
・66歳以上定年 2.2%
・希望者全員66歳以上の継続雇用制度 6.8%
・基準該当者66歳以上の継続雇用制度 10.3%
・その他の制度で66歳以上まで雇用 8.8%

 となっている。もっとも多いのは何らかの基準を設ける制度だが、上の3つは希望者全員が66歳以上まで働ける仕組みで、企業数は18,921社[2,261社増加]、報告した全ての企業に占める割合は11.7%となる。

 実に1割超の企業で、社員が望めば66歳以上まで働けるというのだ。定年廃止以外はいつまでも在籍できるというわけではないが、おそらく68歳~70歳くらいまでは勤務可能ではないかと思う。

 2014年の高年齢者雇用安定法の改正で、65歳までの雇用が原則義務化されたときは、60歳以上の高齢社員の処遇をどうするかが大きな課題となった。基本的に今でもその課題は継続しているが、66歳以上の高齢労働者であっても受け入れる動きが広まりつつあるのは、この5年間の重大な変化といえる。

 31人以上規模の65歳以上の常用労働者は2019年で172万人。5年前と比べて倍近くも増えている。特に70歳以上はこの3年間毎年10万人ずつ増加しており、さらに勢いを増しそうだ。

 企業も人手不足だからといって深く考えずに雇用すると、種々の問題にぶつかる可能性が高い。66歳以上という労働力としては超高齢の労働者の処遇をどうするか、基本的に60歳以上と同じでよいのか、それとも別のものにすべきなのかは、今後の重要課題となるだろう。   
 

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