2019/11/10

勤務間インターバル制度の導入状況

 厚生労働省が2019年「就労条件総合調査」結果を公表した。その中に勤務間インターバル制度についての調査がある。当該項目は、一昨年の2017年調査から取り入れられたもので、今年で3年目となる。

 前日の終業時刻から翌日の始業時刻までに一定の休息時間を確保させる勤務間インターバル制度は、「働き方改革」の一環として、改正労働時間等設定改善法により、2019年4月から努力義務となっている。その影響がどう現われているか調査を概観してみよう。

 調査では、まず、1年間を通じて「実際の終業時刻から始業時刻までの間隔が11時間以上空いている労働者の状況」を尋ねている。11時間の間隔というのは、インターバルとして最も標準的な時間で、9時始業であれば、前日は夜10時までに終業するということだ。

 結果を見ると、「全員」が32.9%、「ほとんど全員」35.0%と、これはまあ妥当な数値と思える。その一方で、「全くいない」が10.7%と結構な割合を占めている。規模別では、1,000人以上の5.8%に対し、30.~99人は12.2%で、小規模企業の大変さがうかがえる。一部の社員ならともかく、全員が、夜10時を超えて働く経験をするというのは、かなり厳しい環境である。
 
 次に、勤務間インターバル制度の導入割合だが、全体で3.7%と導入状況は芳しくない。平成30年調査では1.8%なので、多少の進展は見られるが、やはり“努力義務”だと効力は弱いと言わざるを得ない。

 「導入予定はなく、導入を検討もしていない企業」は80.2%で、その理由としては、「超過勤務の機会が少なく、当該制度を導入する必要性を感じないため」が53.0%と最多である(複数回答)。

 一方で、「人員不足や仕事量が多いことから、当該制度を導入すると業務に支障が生じるため」としたのも11.3%あり、こういった企業にどう対処するかが、将来の制度義務化に向けてのカギとなるだろう。

 ちなみに、「当該制度を知らなかったため」という回答も19.2%ある。昨年調査では29.9%、一昨年は40.2%なので、浸透しつつあるのは確かだが、法制化された制度としては認知度が低いようだ。この辺りにも“努力義務”にすぎない法制度の悲哀を感じる。  
 

 過去記事は⇒ミニコラムもご参照ください。
 お問い合わせは⇒お問い合わせフォームをご利用ください。

にほんブログ村 経営ブログ 人事労務・総務へ

にほんブログ村 士業ブログ 中小企業診断士へ
 

PVアクセスランキング にほんブログ村
にほんブログ村に参加しています。