2022/7/17

男女賃金差異の算出方法

 7月8日、厚生労働省が女性活躍推進法の省令・告示を改正し、同日施行した。これにより、女性の活躍に関する情報公表項目に「男女の賃金の差異」が追加されることとなり、大企業(301人以上)に、次の事業年度の開始日から概ね3か月以内に、直近の男女の賃金の差異の実績を公表することが義務付けられた。

 ここでは、賃金差異をどのように算出するかについて、厚労省から示された通達を元に整理しておこう。

 算出方法は以下の通りである。

①賃金台帳、源泉徴収簿等を基に、全社員、正社員、非正規社員それぞれについて、男女別に、
・原則として直近の事業年度の賃金総額を計算し、
・当該事業年度に雇用したそれぞれの区分の労働者の数(人員数)で除する
ことにより、平均年間賃金を算出する。
②その上で、全社員、正社員、非正規社員それぞれについて、女性の平均年間賃金を男性の平均年間賃金で除してパーセント(小数点第2位を四捨五入)を出すことにより、男女の賃金の差異とする。

 公表の具体的なイメージは次のようになる。

労働者の区分男女の賃金の差異
全ての労働者○%
 うち正社員
△%
 うちパート・有期社員×%
 
 人員数の数え方については、以下の点が重要としている。
・男女で異なる数え方をしない
・初回の公表以降、将来に向かって一貫性ある方法を採用する
・人員数の数え方を変更する必要が生じた場合は、人員数の数え方を変更した旨及び変更した理由を明らかにする

 さらに、人員数の数え方の一方法とし、事業年度の期首から期末までの12か月の特定の日(給与支払日、月の末日その他)の労働者の人数の平均を用いることが考えられるとし、月ごとの年間平均を推奨している。

 具体的な計算の仕方は、別の「男女の賃金の差異の算出方法等について」という資料に示されており、参考となるだろう。

 折しも2021年のジェンダーギャップ指数が明らかになったところで、日本は総合で116位と前年の120位よりは向上したものの、経済分野は121位(前年117位)に低迷している。今般の差異公表の義務づけが、少しでも改善に役立つことを願う。            

 


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