2022/2/6

パワハラにならない指導の仕方

ハラスメント

 部下が何かミスをしたとき、上司が指導をするのは当然のことであり、指導をしなければ管理者の仕事を放棄していることになる。難しいのは、真面目な管理者ほど熱心な指導をしがちで、それが行き過ぎると部下や周囲からパワハラと受け取られてしまうことだ。これに悩む管理者は多いと思う。

 ここでは、日本商工会議所が公開している「ハラスメント対策BOOK」の「管理監督者が留意すべきポイント」を参考に、パワハラにならない指導の仕方をまとめてみたい。ちなみにこのガイドブックは、パワハラ・セクハラ・マタハラの法的な義務や実務的な対応方法などを整理したもので、ハラスメントの概要を体系的につかめるよい資料である。

 さて、指導にあたってのポイントは次の3つだ。

1.問い詰めない・尋問しない

 部下がミスをしたとき、「なぜ、こんなことをしたんだ?」と問いがちだが、そうすると部下は「すみません」と謝るしかなく、個人攻撃する形となり、パワハラに結びつきやすい。

 視点を変えて、「何が問題だったと思う?」「どうすれば改善できると思う?」とすれば、部下を責めるというよりはミスそのものにフォーカスすることとなる。事態の改善にもつなげやすい。WHYではなくWHATあるいはHOWで対応するということだ。

 上司がすべきはあくまで業務の指導であって、人間性や人格の指導ではない。「罪を憎んで人を憎まず」である。

2.ハッピーエンド

 叱りっぱなしでは、部下は意気消沈してしまい、改善に向けて前向きな気持ちにはなかなかなれないだろう。そこで、指導の最後は「期待している」「君ならできる」など励ましの言葉で閉めることで部下の気持ちは大きく変わるはずだ。上司も含め、失敗は誰にでもある。大切なのは失敗を活かすことと心得たい。


3.一呼吸置く

 ミスを知った直後は上司も感情的になる。感情が高ぶったまま指導をしてもろくなことはない。まずは一呼吸置いて指導を始めるべきだ。指導をしたとき、逆に部下の方がけんか腰になったり、泣き出したり、感情的になった場合は、これも一呼吸置くか後日あらためて指導をしたほうがよい。

 以上の3つを留意するだけで随分違ってくると思う…のだが、実を言えば、ここまで読まれた方、あるいは、こういったガイドブックに関心を持った方は、少なくとも大きな問題となるようなハラスメントは起こさないというのが筆者の認識である。

 ガイドブックのP37にセクハラの裁判事例があり、加害者の管理職は、社内のセクハラ研修後に「あんなん言ってたら女の子としゃべられへんよな」と発言したという。そのような人たちが、こういったガイドブックや文章に真面目に目を通すとは思えない。ということで、しっかりと読まれた方は大丈夫と考える次第である。            

 


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