2020/4/13

企業の禁煙・喫煙状況

 
4月から施行された改正健康増進法により、事業所の屋内は原則禁煙となり、飲食店以外の一般オフィス等では、喫煙専用室(あるいは加熱式たばこ専用喫煙室)を設けるか、屋外に喫煙所を設置することが義務付けられた。

 企業はどのように対応しているのだろうか。施行前ではあるが、3月24日に発表された帝国データバンクの「企業における喫煙に関する意識調査」結果を概観してみよう。

 まずは自社の喫煙状況は下記のとおりだ。

「完全分煙(適切な換気がされている喫煙場所、または屋外に喫煙場所を設けている)」 53.9%
「全面禁煙(社内での喫煙は不可)」 26.2%
「不完全分煙(屋内に適切な換気がされていない喫煙場所がある)」 8.9%
「時間制分煙(決められた時間に指定場所での喫煙が可能)」 3.3%
「特に喫煙制限は設けていない」 6.3%

 この中で「不完全分煙」と「特に喫煙制限は設けていない」は、改正健康増進法の下では違法となる可能性が高い。違反には50万円以下の罰金もある。

 企業規模別ではどうだろうか。大企業のほうが全面禁煙が進んでいそうなイメージがあるが実態は異なる。全面禁煙について規模別にみると、下記のように規模が小さい企業ほど実施割合が高い。

大企業 21.2%
中小企業 27.4%
小規模企業 34.8%

 これは、規模が小さいとスペースや費用の点から完全分煙が難しく、全面禁煙を選択しているケースが多いためと思われる。

 業界別では、「金融」(47.5%)、「不動産」(46.6%)、「サービス」(39.3%)が高く、「製造」(14.4%)、「運輸・倉庫」(16.0%)、「農・林・水産」(17.2%)が低い。

 事務職系が高いという印象で、オフィス内で集団で仕事をしているために完全禁煙の必要性が高いこと、元々喫煙率が低く完全禁煙を進めやすいことなどが要因と考えられる。

 地域別では、「南関東」(33.7%)、「近畿」(27.4%)が高く、「北陸」(18.0%)、「北関東」(19.8%)が低い。

 大都市圏で高い傾向があるのは、地方に比べて喫煙に対する視線の厳しさがあるからだろうか。

 4月からの施行を受けて、禁煙化の動きはさらに進んでいくのは間違いない。社員にとって職場は活動時間の半分近くを占める。少なくとも非喫煙者が受動喫煙を被らない環境を整えるよう、企業は努力してほしいものだ。    
 

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