2019/4/1

就活生のブラック企業意識

 
 
 
 就職戦線がたけなわである。売り手市場の今日、学生からすると、まずブラック企業は避けたいと思うのは当然だ。

 では、就活生はブラック企業にどのような意識をもっているのだろうか? 採用情報サービスのディスコが行った、『就活生に聞いた「ブラック企業/ホワイト企業」への考え」の調査結果のいくつかを紹介したい。調査は2019年3月卒業予定の4年生と2020年3月卒業予定の3年生を対象に行われているが、ここでは前者、つまり就活が終了している学生の意識を取り上げる。

 まずは、どのような企業をブラックと思うか、「ブラック企業だと思う条件」の上位5つは以下の通りとなった。

①残業代が支払われない 77.9%
②給与が低すぎる 70.9%
③労働条件が過酷である 65.5%
④残業が多い 65.3%
⑤セクハラ、パワハラがある 63.3%

 サービス残業、低賃金、長時間労働、ハラスメントと、近年悪い意味で話題となるキーワードが浮かび上がる。世間一般のイメージと同じ通りといえる。

 それでは、学生はどのようにしてブラック企業を判断しているのだろうか。「就職活動でブラック企業を疑った企業の態度や様子」の上位5つは次の通りである。

①社員が疲れている 46.8%
②企業規模の割に大量採用 41.2%
③圧迫面接 38.0%
④ダイレクトメールが頻繁に送られてくる 34.7%
⑤内定が取りやすい(選考ステップが少ない) 33.6%

 「社員が疲れている」は、人事や面接者を見てというよりは、他の社員や会社全体の雰囲気から感じることではないかと思う。窓口となる人事が健全なイメージづくりをしても、内実が不健全であれば学生は察知するということだ。
 ただ、社員が妙に元気なのも問題があるようだ。10番目に「社員がギラギラしている 24.5%」が挙げられており、バランスの良さが求められる。いずれにしても、企業はブラックの印象を避けるために、上記の項目に留意する必要がある。

 逆に「ホワイト企業」だと思う条件は以下の通りだ。

①有給休暇を取りやすい風土がある 77.1%
②福利厚生が充実している 70.9%
③離職率が低い(平均勤続年数が長い) 70.0%
④残業が少ない 59.3%
⑤残業代が満額支払われる 59.2%

 賃金よりも休暇、福利厚生と言った労働条件が重視されていることがわかる。これらは学生の質問としてよくあるものだ。学生の関心も高いということだが、面接官からすると印象の良くない質問として知られている。

 とはいえ、ブラックは嫌だが、ホワイトにそれほどこだわりはないというのが学生の総意である。「ブラック企業」「ホワイト企業」への意識は、

「ブラック企業」を気にした 85.6%
「ホワイト企業」を気にした 49.6%
 
 となっており、企業からすると、ホワイトであることよりは、まずはブラックでないことに注力するのが大切といえる。

 さて、これらの結果を見て就活生に言いたいのは次の2つである。

 1つはブラックとホワイトというのはゼロか1かではないことだ。言わばどの企業もグレーであり、それが黒に近いか白に近いかである。ホワイトとされる企業にもブラック的な要素は必ずある。ブラック要素にはいろいろな種類があるので、大切なのは、これだけは我慢できないが、これくらいは許容できるという自分なりの視点を持つことである。

 2つ目は、ブラックと言うのはあくまで働く環境のことであり、仕事のやりがいは別ものということだ。もちろん、働きやすい環境であれば、自分の能力を発揮しやすくなるので、結果的に仕事のやりがいも感じやすくはなるだろう。逆に働きづらい環境であれば、やりがい以前の問題となるかもしれない。ただ、「会社はホワイトだけど、仕事はやりがいがない」という図式もありうることは認識しておきたい。実際、そのような状態に陥って退職してしまうケースも多いはずだ。就活にあたって、ブラック企業を警戒するのはよいが、その企業の仕事にやりがいを持てるかという点も十分に考慮してほしいと思う。

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