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2018/12/3

同一労働同一賃金ガイドライン案固まる~その1

 先月27日、同一労働同一賃金のガイドライン案(短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針案)が固まり、根本厚労大臣が労働政策審議会に諮問を行った。

 ガイドラインは2016年12月に原案が作成されていたが、6月の働き方改革法案成立を受け、今回は正式採用に向けての諮問となる。

 同一労働同一賃金は、働き方改革法案の中で労働時間法制の見直しとともに最もインパクトが強く、非正規労働者の人生を変えるといっても過言ではない。その運用ルールとなるガイドラインは企業・労働者双方の関心も高いはずだ。ここでは、2016年版(以下、原案)との相違点を中心に内容を確認していきたい。

 結論から言えば、今回の指針案と原案とに大きな差はない。特に、具体的な運用の参考となる「問題とならない例」「問題となる例」の部分は本質的に同じである。とはいえ、成立した働き方改革法案や同一労働同一賃金に関する最高裁の判例を反映させたことなど注目すべき修正点もあるので、以下、確認していきたい。ポイントは次の4つである。なお、今回のコラムではこのうちの1を扱う。

1.「基本的な考え方」を示したこと
2.短時間・有期雇用労働者の原則となる考え方および具体例は基本的に変更ないこと
3.「定年に達した後に継続雇用された有期雇用労働者の取扱い」を示したこと
4.派遣労働者と協定対象派遣労働者の原則となる考え方および具体例を示したこと

1.「基本的な考え方」を示したこと
 原案では、前文において「目的」「ガイドライン案の趣旨」の2つを示していたが、今回の指針案は、「1目的」「2基本的な考え方」という形に再編成された。このうち「目的」は原案の踏襲だが、基本的な考え方として以下の事項が追加となった(内容は適宜改変)。

①新たに雇用管理区分を設けることで、通常の労働者の待遇の水準を他の通常の労働者よりも低く設定しても、当該他の通常の労働者と短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者(以下、非正規社員)との間でも不合理な待遇差の解消を行う必要がある。

②通常の労働者と非正規社員との間で職務の内容等を分離したとしても、当該通常の労働者と非正規社員との間の不合理な待遇差の解消を行う必要がある。

③通常の労働者と非正規社員との間の不合理な待遇差を解消するため、就業規則の変更によって労働者の労働条件を不利益変更する場合は、労働契約法第9条の規定に基づいて労働者と合意する必要がある。労働者との合意なしに就業規則を不利益変更する場合は、同法第10条の規定に基づき、当該変更に係る事情に照らして合理的なものである必要がある。

④通常の労働者と非正規社員との間の不合理な待遇差の解消を行うにあたり、労使で合意することなく通常の労働者の待遇を引き下げることは、基本的に望ましい対応とはいえない。

 ①は、正社員を総合職と一般職といったコース別雇用管理で区分した場合も、一般職だけでなく総合職とのバランスも考慮しながら、非正規雇用社員を待遇差の解消を図らなければならないということである。

 ②は、同一労働でなければ、つまり、正社員と非正規社員の仕事内容を区分していれば、不合理な待遇差が許容されるわけではないということだ。

 ③と④は、格差解消のために正社員の待遇を引き下げることへの警告といえる。③では、労契法の規定により、不利益変更には労働者の合意か就業規則の変更が必要となることを指摘するとともに、④で労働者の合意を得ずに引き下げるのは望ましくないとしている。就業規則の変更による方法は取るべきではないということだ。
 背景にあるのは、日本郵政が正社員の住居手当を廃止することで格差是正を図ったことだろう。日本郵政は労使の合意があったものの、安易にそのような手法を取らないよう戒めたものといえる。

 これらは、同一労働同一賃金がいよいよ現実化するなか、抜け道として考えられた以下のような対策は原則NGであることを、あらためて注意喚起したものと考えられる。

①非正規社員の待遇は、正社員のうちの一般職と比べればOK
②仕事内容を明確に区分すればOK
③正社員の待遇を引き下げることで格差を解消

 もう1つ、「基本的な考え方」の中に見落としてはならない箇所があるので指摘しておきたい。

<原案>
 なお、具体例として整理されていない事例については、各社の労使で個別具体の事情に応じて議論していくことが望まれる。

<指針案>
 なお、この指針に原則となる考え方が示されていない退職手当、住宅手当、家族手当等の待遇や、具体例に該当しない場合についても、不合理と認められる待遇の相違の解消等が求められる。このため、各事業主において、労使により、個別具体の事情に応じて待遇の体系について議論していくことが望まれる。

 特に退職手当の記述があるのに注目したい。基本給などの「…しなければならない」と違って、あくまで「望まれる」という表現であるが、非正規社員に対する退職金支給も検討課題となることを明示している。組合などからこの要望が増えてくることが予想され、企業の人件費に大きな影響を与えそうな一文といえる。


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