2018/2/20

「昭和」の就業規則を使っていないか




  コンサルにあたって就業規則を確認することが多い。拝見しながらこういうのも何だが、就業規則を読めば、その会社の人事労務への関心の度合いがつかめる。
 
 直近の法改正はもちろん、個人情報保護や情報漏洩リスク、ハラスメント、メンタルヘルスなど、近年、課題となっている事柄にも対応していれば、人事労務管理体制がしっかりしており、社員管理が適切に行われている―少なくとも行おうとしている―との推測が成り立つ。
 
 一方で、「これはどうなの?」という規則を目にすることもある。制定以来、ほとんど改定していないのは論外として、「最低限の法改正だけは反映しました」という、おざなり型の規則である。基本は作成時のままなので、記述内容が現在の時代環境とは明らかにずれている。いわば今に残る“昭和の就業規則”である。小規模企業ならまだしも、結構な規模の企業でもたまに見かける。

 だからといって直ちにブラック企業認定をするわけではないが、一事が万事で、その要素があるのではと疑念をもってしまう。
 

 ”昭和の就業規則”の特徴は、家族主義的なこととリスクに鈍感なことだ。具体的には次の通りである。

 ・男子/女子という言葉を使っている。
 ・入社時に戸籍謄本・抄本の提出を求める。
 ・服務規律や懲戒の項にパワハラやセクハラがない
 ・休職に関する規定が大ざっぱである。
 ・休暇制度の中に裁判員休暇がない。

 また、内容は古くなくても、誤字や変換ミスがあるのも印象を悪くする。特に、古くからある規定にもかかわらず誤字が残っていたりすると、まともにチェックやメンテナンスをしているとは思えず、労務管理に対する姿勢を疑わざるを得なくなる。

 もちろん、そのような規則であっても、社員を大切にしている会社もある。そもそも、筆者の印象などどうでもよいことである。ただ、時代遅れの“昭和の就業規則”は企業にとって危険だ。

 就業規則というのは会社における法律である。「就業規則に書いてある(あるいは書いてない)」からと社員から主張され、会社が思わぬ不利益を被ることは十分にありうるし、現に起きている。

 上記の指摘が該当する就業規則を持つ企業は、そのリスクが高い。痛い目に合わないうちに、早急に確認し変更することが望まれる。就業規則が飾りもので済んだ古きよき時代はとうに終わっているのである。
 

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