2025/4/13

高い自己評価は結局損をする

 前回に続き、自己評価の高い社員の話である。今回は、根拠のない高い自己評価が最終的には損になることを述べたい。自己評価を高くすると、実際より高い評価を得られ、得になる気がするが、決してそうではない。不当に自己評価を高く付けることで、被評価者に次のようなデメリットが生じる。

1. 上司から不信感を持たれる
 上司の評価とのギャップが生じ、不信感を抱かれ、評価面談で根拠を問われる。根拠があいまいであったり、納得性のある根拠を示せなかったりすると、この人は「自己認識が甘い」「物事を客観的に見られない」とのイメージを持たれる。

2.成長の機会を逃す
 実際の能力よりも高く評価すると、適切なフィードバックを受けられなくなる。スキルアップに必要な課題が見えづらくなり、成長の機会を逃すことになる。

3.正当に評価しても疑われる
 高い自己評価が続くと、上司から「自己評価の高い人」と認識され、過大評価をする人物とのレッテルを貼られる。たとえ正当な自己評価であったとしても、「また実力以上に自分を評価しているのではないか?」と疑われる。

4.昇進・昇格に不利になる
 根拠のない高い自己評価をすることで、この社員は「客観性に欠ける」「自信過剰」と判断され、昇進・昇格の際の障害となる。特に管理職への登用に際しては不利となる。管理職になれば部下を評価する立場となる。自分の評価をきちんとできない人に部下の評価を任せられない。

 自己評価の高い人を不公平に思う人は多いだろう。確かに、短期的には高評価を得て、昇給・賞与などで得をするかもしれない。しかし、そのような不当利得は長くは続かない。短期的に得た利益も、すぐに帳消しになるほどの損失を招く可能性が高い。

 ひと言でいえば、「人としての信用を失う」ことだ。上司だけでなく、周囲の人たちからもだ。筆者は被評価者研修などで、自己評価の留意事項として、そのことを伝える。これにより、高い自己評価をしていた人が、妥当な評価をするようになることもある。

 自己評価の高い人はズルい人と思うかもしれないが、そうではない。目先の利益にとらわれ、結果として信用を失ってしまう。経済的にみても損である。不当に高い自己評価をする人は、ズルい人というよりは哀れな人である。        

 


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