2025/1/19

第2新卒採用の留意点

 1月13日の日経新聞に、第2新卒の求人が急増しているとの記事があった。人手不足、少子化による新卒採用難、若手の早期離職などが背景にあるという。新卒の代替として第2新卒に着目するのは、このご時世では当然のことかもしれない。

 加えて、第2新卒には次のようなメリットがある。まず、社会人としての基本スキルが習得できていることだ。一度就職しているので、基本的なビジネスマナーや業務遂行スキルは身についていると考えられる。

 2つ目は、フレッシュな気持ちや意欲を持っていることだ。一度就職したとはいえ、その企業に芯まで染まってはいないので、新たな環境に順応できるフレッシュな姿勢が期待できる。通常の中途採用者に比べて、会社ズレしていないということだ。

 3つ目は、自社に合った人材が期待できることだ。第2新卒者は、実際に働いてみて、自分の能力や適性、仕事観などをリアルに認識できているはずだ。これは新卒者にはない大きな特性である。転職先は、より自分にフィットした企業を選んでいる可能性が高い。企業からすると、自社に合った人材が集まるということだ。

 一方で、次のようなデメリットもある。1つ目は、再離職の不安である。一度離職しているため、退職することへの抵抗感は、新卒者に比べて小さいと考えられる。ちょっとしたきっかけで再離職してしまう可能性がある。

 次に、ビジネスパーソンとしての適性不足の懸念である。忍耐力がない、ストレス耐性が低い、コミュニケーションが取れない、周囲とうまくやっていけない、といった理由で退職した人材は、どこに行ってもまた同様の理由でトラブルを起こしたり、辞めたりする可能性が高い。第2新卒の中には、そのような人が一定数いると考えられる。

 3つ目は、適応力の課題である。「白紙」に近いとはいえ、何らか前職の色に染まっているのも確かだ。新たな組織文化や業務に適応するまでに時間がかかる場合がある。

 第2新卒者の採用には、こういった特性を考慮しなければならない。以下、選考にあたっての留意点を挙げる。

1. 転職理由を深く理解する
 前職を辞めた理由を具体的に確認する。たとえば、「職場環境」「仕事内容」「キャリアの方向性」などの観点を掘り下げる。そして、前職で得た経験や学びをどのように活かそうとしているのかを聞く。上司とのトラブル、環境への不適応などのネガティブな理由でも、その経験をどのように改善しようとしているかが重要だ。転職理由があいまいな場合は、再び短期間で辞めるリスクがある。

2. キャリアの方向性や意欲を確認する
 今後どのようなキャリアを積み、スキルを身に付けたいのか、具体的な目標を持っているかを確認し、自社でのキャリアパスに合致するかを検討する。キャリアプランが不明確な場合、短期間での転職を繰り返す可能性がある。

3. 成長余地と適応力を見極める
 前職での失敗や課題から学んだことを具体的に聞く。新たな環境や異文化への適応力、チームでの協調性を確認する。前職の経験に固執しすぎて柔軟性が欠ける場合、新しい職場での適応が難しい可能性がある。

4. 職場との相性を確認する
 自社の企業文化や価値観に合致するかを見極める。配属先が決まっているのなら、メンバーとの相性や、期待される役割・職務に対する適性を判断する。どんなに優秀でも自社の文化になじまなければ、長期的な活躍は難しい。

 このように第2新卒の採用には、前職での経験や学びが自社で活かせるかを評価した上で、成長意欲や適応力、自社との相性を見極めることが重要である。新卒者とも一般の中途採用者とも異なるアプローチが求められることに留意しなければならない。        

 


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