2024/8/25

学生の育児休業意識

 7月31日に厚生労働省が公表した「若年層における育児休業等取得に対する意識調査」の結果が興味深い。

 調査対象は、18~25歳の男女高校生・大学生などの学生で、会社の色に染まっていない若年層の育休に対する考え方がわかる。

 たとえば、育休を取得するに当たって希望する期間について、男性の約3割が「半年以上」を希望し、1年以上を希望する男性も16.0%と、長期間の育休取得の希望が高い結果となっている。実際にこの希望がかなう社会であれば、今よりもっと働きやすい職場環境になっていると想像できる。

 さて、この調査で特に注目したいのは育休、特に男性の育休と就職活動との関連である。

 企業の育休の取得状況が企業選定に与える影響については、7割が「影響がある(影響がある21.7%、やや影響がある48.0%」との回答で、就活において育休を重視していることがわかる。

 また、男性の育休取得実績がない企業に対しては、6割が「就職したくない(就職したくない14.9%、どちらかというと就職したくない46.1%)と回答し、男性の育休取得実績が入社の判断材料となっていることもうかがえる。

 さらに、就職活動にあたって、「企業からどのような結婚や出産に関わる情報があると就職したい気持ちが高まるか」という問いに対して、「男性の育休取得率」と回答した割合が33.4%でトップとなっている。「女性の育休取得率」は28.4%で2位である。女性の取得率よりも関心が高いのは、男性の育休取得率が会社のイメージを表す指標として、より妥当であると認識されているからかもしれない。

 実際、育休の取得率が高い企業に対するイメージとして、「安定している」(41.5%)、「社員想い」(39.3%)、「休日・休暇が多い」(28.4%)、「先進的」(22.6%)、「若手が活躍できる」(21.5%)といった好意的なものが挙げられている。男性の取得率が高ければ、これらのイメージを一層強められる可能性がある。

 男性の育休取得率の公表義務は、現在、1000人超の企業に課せられているが、2025年4月から300人超となり、対象が拡大する(なお、次世代法の改正により、100人超の企業には数値目標の設定義務が課せられる)。中には0%という企業もあるだろう。ただ、上記の調査結果からすると、そのような企業に対する学生の印象は悪くならざるを得ない。新卒採用に、企業が考える以上のマイナスの影響を与えると心得るべきである。     

 


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