2024/2/4

諸手当の動向

 経団連がこの時期に公表している「人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果」は、定番の労使交渉の状況や賃上げの状況のほか、高齢者雇用など幅広いテーマを会員企業の労務担当役員に調査したものだ。1月16日に公表された2023年版では「諸手当」の状況があったので、それを確認してみたい。

 まずは、非管理職の諸手当の導入状況と、導入している場合の今後の方向である。導入割合の高いのは、単身赴任手当92.9%、家族手当68.1%、住宅手当65.3%などである。単身赴任手当がトップに来るのは、大企業が多い経団連ならではだろう。また、家族手当や住宅手当の導入割合は思ったより低い。

 今後の方向については、「全廃する」「縮小する」の合計の上位は、インフレ手当・物価対応手当22.2%、年齢・勤続手当17.9%、家族手当12.0%となっている。

 他方、「拡充する」の上位は、資格手当22.9%、インフレ手当・物価対応手当22.2%、業績・成果手当22.0%である。仕事と直接関係のない属人的な手当から、仕事に関連する手当へのシフトが進んでいることがうかがえる。

 「全廃する」に限ると、インフレ手当・物価対応手当11.1%の次に営業手当6.3%が来る。営業手当は外勤手当と称する場合もあり、コロナ禍でオンライン営業が増え、外勤の必要性が減っていることが要因にあると思われる。

 調査では、配偶者手当の見直し状況も確認している。見直しを「議論した」が78.6%、「今後、議論を予定」が20.4%と、ほとんどの企業が見直しを検討、または予定をしている。

 議論の結果は、「手当の廃止(段階的廃止を含む)」が63.2%に上り、「継続して議論していく」14.5%、「手当の減額」10.5%、「支給要件の見直し」7.9%などとなっている。見直しの方向としては、廃止が優勢を占める。

 なぜ見直しの議論をするかについては、「女性の活躍推進の観点から、働き方に中立的な手当とするため」56.3%、「家族構成の変化などに伴うニーズに対応するため」50.0%が他を大きく引き離している。こういった大義名分を掲げられれば、組合や社員も反対はしづらいだろう。

 多くの企業では配偶者手当の支給要件に103万円等の収入制限を設けており、「年収の壁」の一要因となっている。こういったことも踏まえると、配偶者手当見直しにはさらに拍車がかかると思われる。見直しを検討する企業では、今回の調査結果は参考になるはずだ。    

 


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