
賃金や評価、昇進・昇格といった人事制度の見直しにより、時代環境に合った処遇を目指すことで、社員がより力の発揮できる場の実現が可能となる。それは、企業に在籍する社員だけでなく、外部の人材にも影響を与える。社員にとって魅力のある人事制度は、外部の人材にとっても魅力的である。また、そのような見直しをする企業であれば、人への関心が高く、社員を大事にしてくれそうだとのイメージを持てる。その会社で働きたいとの思いにつながる。
リクルートが発表した「企業の人材マネジメントに関する調査2023(人材の評価/賃金・報酬/昇進・昇格制度編)」では、「人材の評価」「賃金・報酬」「昇進・昇格」の3つの制度を全て見直している企業は、人材採用がうまくいっていることを示している。
具体的には、人材採用について「人員数」と「人材レベル(求める人材要件に合致する人を採用できているか)」という二つの観点から、3つの全てを見直している企業、一部を見直している企業、全く見直していない企業の状況を調査している。
結果を確認すると、まず、「人員数」において採用できているかは、
3つ全て見直している企業:69.0%(20.0%)
一部見直している企業:41.9%(38.4%)
全く見直していない企業:24.5%(60.2%)
となっている。カッコ内は「採用できていない」の数値だ。また、「人材レベル」において採用できているかについても、下記のように同様の結果となっている。
全て見直している企業:59.5%(25.7%)
一部見直している企業:33.3%(43.4%)
全く見直していない企業:14.6%(67.3%)
人材の量においても質においても、人事制度の見直しをするか否か、また、見直すにしても全体を見直すのか一部を見直すのかで大きな差が生じているのがわかる。
調査では、従業員エンゲージメントでも同様の傾向があることを指摘している。つまり、人事制度の見直しが従業員エンゲージメントに好影響を与え、それは外部の人材も惹きつけるということである。
このように人事制度の継続的な見直しは、人材採用にも大きな影響があるといえる。筆者の感覚としても、制度を構築したり、大きく改定したりした後も、継続的に見直しを行っている企業は、人への関心が高く、結果として社員が生き生きと働いている印象を受ける。
逆に導入・改定後に放置しているような企業は、そもそもトップの関心も低いことから、制度がうまく機能せず、職場に停滞感があるように見受けられる。中小企業は見直しをする人材がいないとの反論があるかもしれないが、どうだろうか。経営者が本気になって取り組むかどうかの違いと思える。
「ヒトが大切」と、どの企業の経営者も口にするが、それを制度としてしっかり仕組みにしていくことが求められる(もちろん制度だけではないが)。それは簡単な作業ではなく、改善につぐ改善があってこそ可能である。