2023/8/20

2023年度新入社員は冷めている?

 最近の新入社員は転職志向が強く、同じ会社に長く勤めようとは思っていない、というのが多くの人の認識ではないだろうか。ただ、実態は少し異なるようだ。

 産業能率大学の第34回「新入社員の会社生活調査」によれば、「同じ会社に長く勤めたいと思いますか?(1つ選択)」に対して、
・思う(42.4%)
・どちらかといえば思う(41.5%)
 と「長く勤めたい」が8割を超えている。

「終身雇用制度”を望みますか?(1つ選択)」に対しても、
・望む(64.9%)
・望まない(35.1%)
 と「望む」が約3分の2を占めている。

 一般に若者と言えば、“夢に向かってがむしゃらにチャレンジ”といった姿を描きがちだが、回答からうかがえるのは地味で保守的、現実的な姿だ。他にも興味深い回答をピックアップしてみよう。

「あなたは働く上で、どのようなことが自分にとって重要だと感じますか?(3つまで選択可)」の上位3つ。
①長期間、安心して働けること(50.9%)
②仕事を通じて自分自身が成長すること(46.2%)
③仕事内容に見合う報酬が得られること(40.8%)

「働く上で企業に求めるものは何ですか?(当てはまるものをすべて選択)」の上位3つ。
①長期的な安定性(67.4%)
②将来の成長性(53.2%)
③社員への福利厚生の拡充(46.8%)

 いずれも安定や安心を望む姿がうかがえる。裏を返せば将来に不透明さを感じているということか。

 「働く上で企業に求めるもの」の回答で、「社員のチャレンジングな活動への支援」は5番目(20.3%)となっており、5人に1人しか求めていない。入社式で新入社員にかける言葉として、多くのトップがチャレンジを挙げるのではないかと思うが、これに応える新入社員は少ないようだ。

 一言でいえば、「冷めている」のが2023年度の新入社員と言えそうである。もちろん、今年度に限らず、最近の若者の特徴ということなのだろう。

 ところで、筆者も新入社員のときに、上の人たちから「冷めている」「老成している」「覇気がない」などとよく言われた。「そんなに冷めたのが嫌なら採用するな」と内心思いながら、上司らを“冷めた目”で見ていたのを思い出す。そういった意味で近頃の若者には親近感がわく。若者からは「一緒にするな」と言われそうだが。      

 


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