2023/1/29

エンゲージメントを高める施策とは

 前回は、管理職のエンゲージメントが一般社員に比べて高いことを述べた。今回は、企業がエンゲージメントを高めるためにどのような施策を講じているか、前回と同じく経団連の「2022年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果」にて確認してみよう。


 まず、実施している施策として上位に挙げられたのは次のものである(複数回答)。

①目標や考課・処遇等に関する社員と上長との対話(90.1%)
②企業理念・事業目的の浸透(89.1%)
③育児、介護、病気治療と仕事の両立支援(88.8%)

 ①は、評価フィードバック面談や目標設定面談、近年流行りの1on1ミーティングなどが該当すると考えられる。

 次に、実施施策の中で効果が見られる(「明確な効果がみられる」「一定の効果がみられる」の合計)」ものの上位は次の3つである(複数回答)。

①社員と経営トップ・役員との対話(97.3%)
②場所・時間に捉われない柔軟な働き方の推進(96.2%)
③育児、介護、病気治療と仕事の両立支援(95.8%)

 トップは経営者と社員との対話である。前回も指摘したが、調査の回答は労務担当役員が行っているので、いささか手前みその感があるが、経営者が直接関わっているので、効果がわかりやすいというのもあるだろう。②③は、働く環境の整備に資する施策である。エンゲージメントを高めるには、仕事そのものの充実のみならず、仕事を取り巻く環境も重要になるということだ。

 ①の具体的方法として実施しているものの上位は以下の通りだ(複数回答)。

①ビデオやメールによるメッセージ発信(77.9%)
②経営トップの職場訪問・意見交換(77.0%)
③経営トップと社員(年代別など)のタウンミーティングの開催(64.3%)

 一方、「特に重視しているもの」を見てみると、

①経営トップの職場訪問・意見交換(33.8%)
②経営トップと社員(年代別など)のタウンミーティングの開催(23.7%)
③ビデオやメールによるメッセージ発信(18.4%)

 となっており、リアルの対面を重視しているのがわかる。その方が、手ごたえを感じられるということだろう。

 経営再建や業績回復の成功例では、経営者が現場に出向き、社員との対話を繰り返したとの話がよく語られる。稲盛和夫氏の車座コンパは有名である。

 車座とまでは行かなくても、普段接する機会の少ない一般社員への気さくな声がけが、現場の士気を高めるのは確かだと思う。もっとも、政治家のように部下をぞろぞろと引き連れた“視察”は、現場の冷ややかな視線を浴びることになる。自己満足のパフォーマンスと受け止められれば、かえって士気を下げてしまうので、くれぐれも注意したい。      

 


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