2022/10/23

70歳就業機会確保措置の現在

 2021年4月からの改正高年齢者雇用安定法の施行により、企業は70歳までの就業機会確保措置の実施が求められている。

 努力義務ということもあり、筆者の知る限り積極的に対応している企業は少ないのだが、一般的な傾向はどうなのだろうか。マンパワーグループが10月5日に発表した「65歳以上のシニア就業確保の対応状況」の結果を確認してみよう。

 「すでに対応している」は42.8%と4割で、法制化されている割には微妙なところである。とはいえ、「対応することが決まっている」(15.5%)、「検討している」(18.3%)を含めると、全体の8割弱が何らかのアクションを起こしていることがわかる。

 一方で、「対応していない」が22.0%あり、2割の企業は先延ばし、あるいは様子見といったところだろうか。こういった調査は、対応している企業の方が積極的に回答すると思われるので、実際の未対応企業は3割くらいにのぼるのではないだろうか。

 それでは、対応済みの企業がどのような対応をしているかといえば、「70歳までの継続雇用制度の導入」(58.2%)が最も多く、以下、「70歳までに継続的に業務委託契約を締結する制度の導入」(25.5%)、「70歳までの定年年齢の引き上げ」(24.5%)、「70歳まで継続して社会貢献事業などに従事できる制度の導入」(19.3%)と続く(複数回答)。やはり、従来の65歳までの継続雇用を延長させる形態が多いようである。なお、「定年制の廃止」は13.7%で、意外に多いと感じる。

 このように、企業の対応は全般に“今一つ”の感があるが、社員の意向はどうなのだろうか。「自主的に何歳まで働きたいか」の調査では、「65歳くらい」(28.5%)、「60歳くらい」(22.3%)、「生涯現役」(18.5.%)、「60歳以下」(15.5%)、「70歳くらい」(12.0%)と、65歳超まで働く意向を持つ人は少ない。

 もっとも、「働かなければならない年齢」だと、「65歳くらい」(31.3%)、「70歳くらい」(19.0%)、「60歳くらい」(18.53%)と、70歳が上昇してくる。現実には、70歳くらいまで働かざるを得ないと考える人が結構いるようである。

 ともあれ、社員側に70歳まで働く意向は少なく、このことが、企業が70歳就業機会確保にそれほど積極的にないことの背景にあるのかもしれない。

 雇用形態別では、「正社員として働きたい」(68.8%)、「正社員以外の直接雇用で働きたい」(20.8%)と直接雇用が9割近くを占めている。「派遣社員として働きたい」(5.3%)、「個人事業主として働きたい」(5.3%)はごく少数である。慣れない働き方はしたくない、との意向が強いようだ。

 「正社員として働きたい」のニーズが高いのは、正社員でなくなると収入が大きく減少するからだろう。一方で、多くの企業が採用しそうなのは継続雇用制度で、その大半は再雇用制度、つまり正社員以外で働いてもらうということだ。この点は、社員の意向と企業の意向とに大きなギャップがあるといえる。       

 


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