評価のフィードバック面談にどれくらい時間をかければよいか。筆者は研修等で、最低でも30分、できれば1時間くらいかけてほしいと言っているが実態はどうだろうか。
パーソル総合研究所が2021年に実施した「人事評価制度と目標管理の実態調査」によれば、「評価結果内容についての説明・フィードバック面談」の平均時間は24.9分で、1時間以上かけている人の割合は4.1%とのことだ。この数値から見ると、筆者の言い分は時間のかけ過ぎということになる。
調査でのフィードバック面談の中身は明らかでないが、多くは文字通り評価結果を説明するだけのものではないかと思う。そうであれば約25分というのも納得できる。
しかし、そもそも何のために評価のフィードバックを行うかを考えてほしい。その目的は、会社や上司が期待する方向・レベルに部下の能力や行動、業績をもっていくことである。そのためには単に評価結果を説明するだけでは不十分ではないだろうか。
筆者の考えるフィードバック面談の目的は次の3つである。
①評価の納得性の向上
まずは評価結果をきちんと説明し、納得性を高める。
②要因分析による次期課題の明確化
何がよかったのか、よくなかったのか、その要因を分析し、成長・改善の課題を考える。
③課題実践に向けての部下の動機づけ
適切なアドバイスで部下を動機づける。
単に結果をフィードバックするのは①であり、それに止まらず、①をベースに成長のための次の課題を明確化し、実践に向けて動機づけを高めていく必要があるということだ。ここまでやることで有意義で充実したフィードバック面談になる。単に結果の説明をしただけでは、②③のステップが本人任せとなり、なかなか成長には結びつかないのではないだろうか。
そう考えると、25分程度で終えるのは難しいはずだ。少なくとも②まではもっていき、③については日常業務の中で実施していくという形でもよい。そのために最低でも30分以上の時間を取ってほしいと考える次第である。
もっとも、時間をかけさえすればよいということではない。アンケート調査をしたことがあるが、面談時間の長さと評価結果の納得度は必ずしも比例しなかった。
大切なのは何に時間をかけるかである。1時間の面談とすれば、①に20分、②に30分、③に10分くらいが目安である。上司評価と部下の自己評価とのギャップ解消に延々と議論を戦わせるなどは絶対に避けるべきである。互いに不信感を高めるような面談など、やらないほうがましである。適切な面談時間を考えるにあたって、何のためにフィードバックをするのかをあらためて認識していただければと思う。