2022/8/21

新入社員の5割は10年以内に退職の意向

 マイナビ社の「新入社員の意識調査(2022年)」によれば、「今の会社に何年くらい居続けるか」という質問に対して、10年以内に退職予定が51.0%と5割を超える一方で、定年までは18.5%と2割に満たない回答だった。先のことはわからないとはいえ、新入社員は転職するのが普通と考えたほうがよさそうだ。


 3年以内は28.3%で、新卒入社の3割が3年以内に退職すると言われるがそれが裏付けられる数値となった。

 退職を望む理由は様々であろうが、大きな要素として働きがいの有無があるだろう。この観点から「3年以内」を見てみると、働きがい「あり」は20.2%、「なし」は63.9%と大きな差が出ている。

 それでは、新入社員にとっての働きがいとはどういうものだろうか。働きがいを感じる職場として挙げられたのは、「自身の成長を感じる」「誰か(顧客・同僚)の役に立てたと感じる」「褒められる、労わられる」がベスト3である。この3つがあれば、働きがいを得られ、会社に居続けようとの気持ちが高まるといえそうだ。

 3つのうちキーとなるのは「褒められる、労わられる」だろう。「誰かの役に立つ」は仕事であれば当然のことだ。誰かの役に立つからこそ、売上が立ち、報酬が得られるからだ。

 ただ、管理部門など、仕事内容によってはそれがわかりづらいものがある。この点は、上司や先輩社員が褒めたり労ったりすることを通じて伝えることが大切と思う。そうすることで、「自身の成長」の実感につながるはずだ。

 ところが、実態はそう上手くいっていないようだ。働きがいを感じる職場の理想とのギャップが大きい項目として、「誰かの役に立てたと感じる」、「自身の成長を感じる」、「自身の働きに見合う評価が得られている」が上位に挙げられている。「褒められる、労わられる」(22.8%)も5番目である。

 新入社員といえども仕事を通じて誰かの役に立っているはずだ。少しでもギャップを埋めるために、上司・先輩の果たす役割は大きいと考えられる。

 ちなみに、会社や上司・先輩にやってもらって良かったことのトップは「話し掛けてもらえる・雑談してくれる」で、次に「OJT」となっている。仕事そのものよりも、雑談のほうが上位に来ていることに注目したい。あらためてコミュニケーションの大切さを認識できる。

 働きがいの有無別で見ると、働きがいがある人は総じて高スコアであり、上司・先輩にたくさんのことをやってもらっているという結果が出ている。新入社員に働きがいを持ってもらうには、上司・先輩との日常のさりげないコミュニケーションが重要になることがわかる。

 褒められたり、労らわれたりすることが多い職場や、他愛のない会話ができる職場であれば、新入社員の勤続意欲を高められるということだが、何も新入社員に限らず、全社員にとって望ましい職場と言えるだろう。           

 


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